第二章 いざ助六へ!

6.もっと奥地へ!

 昨夜は助六から戻り温泉に入り、夕飯は鍋。酒も少し入り体は暖かいはずであったが、この時期の王滝村の夜はかなり冷え込む。最後は鼻水が止まらないくらい体が冷えてしまっていた。そして今朝、やっぱり寒い。今日は何処へ行こうか?とりあえず、炭に火を入れて朝食の準備。空は相変わらずハッキリしない曇り空だ。Tちゃんと協議し、今日は更に奥地の三浦ダム方面へ行くことにした。簡単な朝食と熱いコーヒーで出発準備OKだ。
 下黒沢から王滝隧道を抜け、滝越集落を通り林道へ入る。右カーブになったところが白川線の分岐だが、初めて通る人には分かりずらい。木が邪魔で鉄橋が見えないからだ。分岐点の先にゲートがあるが通過に成功!ゲートを過ぎたところに短いトンネルがある。トンネルを抜けると道幅がやや広くなる。勾配も小さくフラットなダートが続く。助六林道と比較するとかなり楽な道だ。ギアはほとんど3速のまま。ただ、景色は単調なので助六ほどの面白さはない。次にやや長めのトンネルが現れる。地形図によると蜂淵トンネルという名前らしい。トンネルの近くに蜂淵という停車場があったようだが、その位置は明確には判らなかった。そしてこの先で王滝川は山を避けるように大きく南へ蛇行する。トンネルを掘れば1km弱の距離だが軌道跡の林道は4〜5倍の距離を稼ぎ川に沿って山を迂回する。その先に、はっきりとは分からないが少し道幅が広くなっている所があって、そこが一瀬停車場跡と思われる。ある情報によれば、ここに貨車の車体が倉庫として使われているとの事であったが今日はない。どこか他の場所へ移動してしまったのだろうか。奥地へ進むにつれて標高も少しずつ高くなる。その為か時折雪まじりの天気になる。
 三浦ダムが近づくと林道の勾配がやや急になる。ダムが出来てダムの上を軌道が通るようになり、ダムの少し手前からダム上へ向けて登る為だ。坂が急になる手前の左手下には旧線の跡と思われる堤が見えるが通行不能だ。

   最下段の石垣が旧線跡

 坂を登りきるとダムのすぐ横に出た。ダムを渡った向こう側の林道の下には水無線の跡がある。ダム湖の湖面から少し上がったところに軌道跡らしき石垣が続いているが、通行は困難なようだ。

  写真中央部にあるのが軌道跡か?

 このままこちら側の林道を進み三浦本谷線跡に入ることにする。ダムの横から山の尾根を回るように敷設された軌道は、その後、尾根の下をトンネルで短絡するように変更されたらしい。尾根を回る旧線の跡は辿る事が出来なくなっている。新線のトンネルに入った。中は暗く、凸凹の路面に水が溜まっているので、前輪で路面の形状を探るようにゆっくりと進む。トンネルを抜けると道幅が車一台分くらいに狭くなり、軌道跡の雰囲気が増した。左手にはダム湖が続く。景色は単調だが軌道跡の雰囲気は色濃く残っている。湖面からの高さを一定に保ちながら尾根筋、谷筋をジグザグに進む。途中、小さい鉄橋がいくつかあり、橋の上には車が通れるようにタイヤが通過する部分だけ木の板が敷かれている。その木の部分には雪が解けずに残っている。車は楽に通れるが板のあまり広くはないのでバイクの通行は危険である。

   土浦線跡か?

 土浦線の分岐と思われる所を過ぎた。軌道跡のところは枕木のような木材が並んでいるが路盤は崩れ通行は困難だ。三浦方面へ更に進んでみた。途中、トンネルがあった。中はやはり水浸しで、凸凹路面。意外と深く、迂闊に路面に足も着けない状態だ。トンネルの少し先のカーブ状の橋の所で折り返すことにした。直線の橋なら何とか渡れるが流石に曲線は危険が伴う。三浦本谷まであと僅かだが仕方ない。ここは勇気ある撤退だ。

   今日はここまで…。

 帰りは来たルートをそのまま戻った。下黒沢から20km弱か?途中、ゆっくり寄り道をしながらなので結構時間がかかる。体が冷えるので早めにベースキャンプに戻り今夜も温泉と鍋だ。♨♨♨
 今夜はもしかすると仕事を終えた団長が来るかも知れないが…。

団長「いいなあ、行きたいなあ…。1日くらいは休みがとれるから早く仕事が終わったら行くかも…。」

 確か木曽に来る前にうわ言のように、そう言ってはいたが団長の場合、過去の例から見てイマイチ信憑性が低いので、今夜は早めに切り上げて明日に備えて就寝だ…。ではまた明日…。

  

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