上部軌道は下部軌道から登山道を約20分歩いた所にあり、並行して火薬運搬用のモノカーが設けられているが、途中から離れてしまい、どっちに上部軌道があるのか分からなくなってしまう。この登山道はこのあたりでは比較的人通りが多いハイキングコースであるが、途中峠の茶屋の廃屋がありここからコースをそれて崖を登る。この崖まで来ればトロッコ鉄チャンなら、どこにトロッコがあるのかピンとくるはずだ。
　上部軌道は下部軌道より規模は小さく地上に出ている部分は数十メートル位である。軌間は下部と同じ762mmでＢＬも同じ４ｔＬ形だが、バッテリーは載せておらず、事務所の前にほったらかしてあった。なかなか雰囲気のいい車庫があり、ジープと一緒に止めてある。
　この日はもう夕暮れが近いということで、早々に切り上げて山をおりた。

《データ》
■鋼管工業武蔵白岩鉱業所下部軌道　［現存］
◇埼玉県入間郡名栗村上名栗
◇区間：鉱山内◇距離：0.05km（坑外部）◇軌間：762mm◇動力：蓄電池◇敷設日：不明

［調査日：1988.10.30］