■那覇のケービン跡を探れ!

 かつて沖縄本島に走っていた鉄道は1945年の沖縄戦で全滅状態となり、ゆいレールが開通する2003年8月までの約60年間「無鉄」時代が続いたのであった。しかし、モノレールである「ゆいレール」に本来の鉄道らしさは感じられないののも事実である。そんな本島で一番「鉄」を感じるのはここ壷川東公園ではないだろうか。沖縄県でも有名ポイントなのでご存知の方も多いと思う。
 壷川東公園は沖縄の交通の中心、那覇バスターミナルがある、ゆいレールの旭橋から一駅の壷川駅から歩いて約5分の住宅街の中にあり、その昔、「ケービン」が走っていた場所でもある。以前は車輌と一緒に沖縄県営鉄道のレールも展示されていたが残念ながら盗難に逢い行方不明だ。1993年に訪れたときにあったレールは15年後の再訪時には跡形もなくなっていた。
 展示してある車輌は2台で加藤のDLとヘンシェル製のSLだ。
 水色の加藤は南大東島の製糖会社で使われていたDLだ。海を渡って本島へやって来て保存され、窓ガラスはないものの原形をしっかり留めている。一方、SLはキャブもボイラーも無く足回りだけだが、以前は琉球ゴルフクラブというゴルフ場に放置されていたものをここに搬送した。よくぞスクラップにされずに残ったものである。鉄道ファン283号に掲載された琉球ゴルフクラブ時代の写真は衝撃的で強く印象に残っていたが、当時、その機関車の残骸が保存されることになるとは想像もつかなかった。こちらも同じ大東製糖で使われていたが、元は両備軽便鉄道から流れて来たという。
 共に本島のケービンとは直接関係ないものの、かつての線路跡近くにこうして保存されているのはホントに嬉しい限りである。

《データ》
■壺川東公園 рネし [保存]

◇沖縄県那覇市壺川1-11◇壺川 歩5◇終日・無休◇無料◇屋外展示・Pなし
 
《車輌データ》
◇01:大東製糖 1号 SL(ヘンシェル 1913年 12309番/B型 762mm)台枠のみ
◇02:大東製糖 5号 DL(加藤製作所/B型 762mm)

参考:TF393(1993.09.16)・全国保存鉄道2・鉄道廃線跡を歩くUp148・トワイライトゾーンマニュアル6・鉄道廃線跡を歩く5・全国軽便鉄道・RF555・TP446・RM230・旅846・旅924p60-62・鉄道廃線跡紀行・RM283p96(2006.11.29)・RF666p38(2007.05.13)・おきなわ軽便鉄道マップp37・RM313p140(2009.07.05)など多数

 
残念ながら盗難にあったとされるレール 1993.12.17撮影

[調査日:1993.12.17・2008.02.07]




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