■屋久島の軌道起点を探れ!


 念願の屋久島だ!団長は数年前に単独で荒川登山口まで入っているが私は初めてである。前夜、鹿児島市内の温泉銭湯で身を清め、朝、鹿児島港発のフェリーに乗り、昼過ぎに宮之浦港へ着いた。屋久島では2泊し、明後日の午後まで丸2日の滞在。会社の仲間も同行しているのであまり自由は利かないが明日は荒川登山口まで入る予定だ。下船後、早速予約しているレンタカー屋へ向かう。だが悲劇はあまりにも早く訪れた。レンタカー屋で車の返却方法や島内での注意事項などの説明を受けている途中のことだった。

レンタカー屋「縄文杉へは行かれますか?」
S藤「縄文杉まで行くかどうかは未定です。」
レ「ああ、そうでうすか。一応、この道(荒川登山口手前の林道)なんですが、先週の台風で崩れまして通行止めなんです。開通見込みはありません。」
S「・・・・・・・・・」

 ナント!一生のうちに何度来られるか分からない屋久島にようやく来て、上陸後僅か数十分で・・・。縄文杉へ行くだけなら他のルートもあるが、トロッコ道が目的の私には絶望的な状況であった。温泉の後、鹿児島の街でうまい芋焼酎を呑みすぎたのが悪かったか!?
 仕方がない。温泉だけでも満喫するか・・・。初日、2日目は島を1周し、滝や平内海中温泉、湯泊温泉などの温泉、飛魚や鹿肉。屋久島の自然や食べ物を楽しんだ。2日目も島内を回り夕方4時前に宿に戻った。夕食の6時まではまだ時間がある。せっかく屋久島まで来たからには、せめて軌道だけでも見たい。夕食までの間に一人で安房の町外れ「苗畑」まで行ってみることにした。天気も良かったので東京に比べるとまだまだ明るい。
 安房の先から右へ折れる。先に屋久杉自然館の保存車両を写真におさめてから苗畑に向かった。綺麗に舗装された広い道路の先にグランドがある。そのグランドの駐車場の先に細い道が伸び、道が左にカーブした先に軌道の起点『苗畑』があった。傾きかけた陽射しに黄色いモーターカーが鮮やかに浮かび上がっている。周囲に人気は無かったが鮮やかな車体やオイルの臭いから久しぶりに生きている軌道を実感できた。次回は絶対に動いている姿を見るぞ!
 苗畑の後、かつて軌道の起点があった安房の貯木場まで行ってみたが軌道に関する遺物は残っていなかった。

■渇ョ久島電工専用軌道(旧熊本営林局下屋久営林署安房森林鉄道) 苗畑 [現存]
◇鹿児島県熊毛郡屋久町安房◇宮之浦港 バス(安房)→歩
◇区間:苗畑〜荒川分岐◇距離:11.2km◇軌間:762mm◇動力:内燃◇運行:ほぼ毎日・一般便乗不可
◇熊本営林局下屋久営林署→屋久島電工(1976頃貸与)
 
◇参考文献:知られざるナローたちp6,p96-109(1980.03・1980.12)・RM18BESTトロッコp24-35,p99,p105-106・RM106・RM166・RM167・RM195・せまいせんろ・トワイライトゾーン4・旅829・旅860・ビーパル208・へんな乗り物p92-93など多数

[探索日:2007.07.22]


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