■荒尾の巨大炭鉱跡を探れ!

 
2006.12.20撮影


 この日は朝から雪が降ったり、雨が降ったり、晴れ間が出たり、曇ったりと分刻みで天気が目まぐるしく変わる変な日であった。昨年は荒尾駅から三井三池の専用線跡に沿って万田の資料館まで来たが時間がなくなり引き返した。今回は大牟田駅前で借りたレンチャリで宮浦坑、宮原坑などを巡り最後に万田坑まで来た。三井三池の産業遺跡の大部分は大牟田市にあるが、ここ万田坑だけは僅かに熊本県荒尾市に入る。恐らく県境から数十メートルだろう。
 荒尾からのバス通りに唯一、小さな案内板が立っている。竪坑のヤグラは見えないが、この案内板を見逃さなければ門の前に辿り着く。
 しかし、門の前で愕然とした。重厚なレンガの塀に鉄の門。中に線路やトロッコが見えるのに中に入れない。見学希望者は荒尾市教育委員会へ連絡と書いてある。仕方がないので塀の上までよじ登り写真だけ撮って中へ入るのを諦めて帰ることにした。塀に沿って荒尾駅方向に数十メートル自転車を押すと何と!!!いきなり塀が消滅した。
 「なんじゃこりゃ!立入禁止どころか自動車でも入れるがな!!!こんなの入るなと言う方が無理でっせ!」
 中は模型のレイアウトさながら、昔の線路がほぼそのまま残っている。ズリ捨て用のインクライン?やデルタ線、竪坑に続くカーブ。さほど大きくない敷地に程よい加減でレールが敷かれている。鉱車や台車なども放置されたままで、時間が止まってしまったかのような空間だ。
 説明看板によれば、2つある竪坑は埋められておらず、何百メートルの深さがあるらしい。1つは金網で囲まれているが、1つは軌道がそのまま竪坑に向かっている。建物の奥の暗闇の中にケージがある。近づくのが怖くて写真だけ撮って止めた。外に出ると人がいて、ハッとした。よく見ると近所のおばさんが犬の散歩に来ていた。
 翌年、再訪した。ほとんどそのままの状態で時間だけが1年過ぎていた。門の中にある松が青く澄んだ空に濃い緑の葉をのばしていたので年賀状用の写真を撮った。

《データ》
■三井三池炭鉱万田坑跡 [放置車両・廃線]

◇熊本県荒尾市原万田◇荒尾 バス15(倉掛中学校前)→歩5◇通常立入禁止・見学希望者は荒尾市教育委員会へ事前連絡◇無料
※2010.04.26より一般公開開始 詳細はHP
◇区間:旧鉱業所内◇軌間:610mm◇動力:不明◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 

《残存車両データ》(2006.12.20現在)
◇01:三井三池炭鉱 61 FC(鋼製炭車 610mm)
◇02:三井三池炭鉱 934 FC(鋼製炭車 610mm)
◇03:三井三池炭鉱 FC(鋼製炭車 610mm)
◇04:三井三池炭鉱 FC(鋼製炭車 610mm)
◇05:三井三池炭鉱 FC(鋼製台車 610mm)
◇06:三井三池炭鉱 FC(鋼製台車 610mm)
◇07:三井三池炭鉱 FC(鋼製台車 610mm)
◇08:三井三池炭鉱 FC(鋼製台車 610mm)
◇09:三井三池炭鉱 FC(鋼製台車 610mm)
◇10:三井三池炭鉱 FC(鋼製台車 610mm)
◇11:三井三池炭鉱 FC(鋼製台車 610mm)
◇12:三井三池炭鉱 FC(鋼製台車 610mm)
◇13:三井三池炭鉱 FC(鋼製台車 610mm)
◇14:三井三池炭鉱 FC(鋼製台車 610mm)
◇15:三井三池炭鉱 FC(鋼製台車 610mm)
◇16:三井三池炭鉱 FC(鋼製台車 610mm)
◇17:三井三池万田坑変電所 FC(台車)

◇参考:RM269p91-92・ラピタ04.05

[探索日:2005.12.22・2006.12.20]

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