■長崎港の大規模工場を探れ!

 長崎は観光の街という印象が強いが古くから船舶産業を中心とした工業都市でもある。それは長崎湾を一望すれば一瞬にして理解できるはずだ。
 JR長崎駅から旭大橋を渡ってフェリーターミナルの対岸へ。国道202号が山裾の地形に合わせてカーブすると遮断機も警報機もない踏切が現れる。道路の両サイドには大きな工場の建物が建つが線路が入り込む部分の門は閉鎖。更にシャッターがしっかり閉ざされていて中の様子は全く窺う事が出来ない。しかし、海側の工場の裏手にも一般道があって工場の塀伝いに進むと船が接岸できる護岸にも線路が延びているのである。この線路は工場の中でカーブして国道側の線路と繋がっている感じである。
 線路は護岸ギリギリの所まで延びていて、どうやら製品を船舶に積み込む場所になっているようだ。そしてその線路の末端には如何にも重量物を運ぶであろう頑丈な造りの台車が停まっていた。台車は写真でもお分かりのように長さはないものの3軸台車のボギー車だ。台車が停まっている場所は立入禁止になっていて近づく事が出来ないが、公道からは特に障害物がなく良く視認できる位置にある。やや距離を置いて観察してみると…、ブレーキはなく、連結器は朝顔型。台車の側面に積載荷重は175TON、自重は18.5TONの表記があり、何に使うのか電気のコンセントが2口付いている。台車の天板はフラットだ。運搬する物は重量物なのは間違いないので、動力は人力とは考え難い。と、すると…、何らかの動力車を擁しているのか?工場の方向を見ると、こちら側は門が開いていて工場の敷地が良く見えるが、先でカーブしていて建物の中までは見えなかった。帰宅後、ネットで航空写真で確認すると、軌道は工場内で分岐していて車庫の様な建物に延びるが果たして…。
 台車は会社の固定資産として管理されており、軌道は使用頻度は分からないが現役ではないか?と推測した。軌間は1067mm、非電化である。

《データ》
■三菱電機 長崎製作所 [現存]

◇長崎県長崎市丸尾町7◇長崎 歩20
◇区間:北西側工場〜護岸◇距離:0.1km(地図で確認できる距離)以上◇軌間:1067mm◇動力:不明◇敷設日:不明
 

《車輛データ》
◆01:三菱電機長崎製作所 FC(鋼製3軸ボギー 18.5t/1067mm)

参考:ブログ軽探団「九州を探る その1」2015.01.19

[探索日:2015.01.19]



そして…、
同日、長崎造船所史料館を覗いて数々の写真を確認していると、そこには先程見た台車に酷似した台車が写っていたのである。


小型の蒸気機関車によって搬送される台車。上部に撮影日と思われるS26.2.10の記載がある。


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