■筑豊に残る練習坑道を探れ!

 旧稲築町(現嘉麻市)にある「稲築町制40周年記念公園」という、そのまんまのネーミングの公園内に旧三井山野鉱業学校練習坑道がひっそりと残っている。小高い丘の麓にある怪し気なコンクリート建造物は説明板が無ければその正体は判らないであろう。その説明板によると…、「この施設は元三井山野鉱業学校の採鉱実習場として昭和32年から生徒達が実習をかねて3年をかけ手造りで建設したものです。三井山野鉱業学校は山野炭鉱における中堅技術者の養成を目的として、採鉱技術の習得と併せて産業人としての徳性の涵養に力を注ぎました。この施設では坑内の木枠組や採鉱技術の練磨をはじめ、坑内爆発や坑内火災にそなえて、救護隊による災害救助活動の練習も行われました。昭和36年1月同校閉校後は昭和48年まで専ら救護活動練習に使用されました。」とある。一緒に記載されている坑内図によれば奥行きは50メートルで他方から合流する2本の坑道が描かれている。
 練習坑道には本物の坑道と同じように610mmの軌道が敷設され、鋼製の鉱車が1両置かれていた。鉱車自体はあまり手入れをされているようには見えないが坑道の草は刈られているようであった。鉱車には2389の文字がプレスされている。これがこの鉱車の車番であろうが、どこの鉱山から持ち込まれたのかは不明である。
 公園の駐車場から練習坑道に向かう途中には昭和40年に237名もの犠牲者を出した山野炭鉱ガス爆発事故の慰霊碑もあり、このあたりが炭鉱だったかも知れない雰囲気も感じられるが、練習坑道と慰霊碑以外には炭鉱関連の残像は残っていなかった。
 尚、練習坑道は一般の公園内にあり見学は終日、自由にできるが、坑道入口は柵で塞がれて坑道内に立ち入ることはできない。


《データ》
■三井山野鉱業学校練習坑道(稲築町制40周年記念公園) [保存]

◇福岡県嘉麻市(旧稲築町)平1009◇筑前庄内 歩40◇終日・無休◇無料◇無料P
 

《車輌データ》
◇01:2389 FC(鋼製2軸鉱車 610mm)

[探索日:2010.12.10]



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