■羽犬塚の防腐工場を探れ!


 この軌道を初めて知ったのは模型誌の『とれいん』であった。記事には軌道のある工場名等は記載されておらず、ただ『羽犬塚駅近くの工場』とだけ書いてあった。気にはなっていたが、なかなか九州に行く機会に恵まれず暫くほったらかしにしてあった。その後この軌道に関する記事が一向に出ないので、とっくに無くなっているだろうと思っていたら、暫くたってRM誌にチョッとだけ載った。今度は会社名入りだったが『軌道の大半が撤去された・・・』のレポートに廃止も時間の問題か?と諦めていた。(何たってこの趣味の世界は無くなってから、または無くなる直前のネタが出回るのが一般常識)で、知ってから15年以上経ってようやく行く機会が来た。(団長より腰が重いゾ!)とりあえず、現地へ行ってみるか!
 2005年12月20日朝、羽犬塚駅に降り立った。改札口を出て右へ進み跨線橋を渡り、鹿児島本線に沿って南へ。この歩道は多分、工場への引込線の跡だ。向こうに工場が見える。果たして軌道はあるのか!工場に近づくと、事務所の横の広場(駐車場)の奥にU字型のトロッコ見えた!まだ残っていた。あまり期待しないで行くと意外とあったりするのがこの趣味の面白いところでもある。
 ここは枕木に防腐加工を施す工場で、トロッコは枕木を防腐加工処理する釜へ搬入するためのものだった。釜の数だけ軌道が敷設されている。全部で5線あり、その中の2線だけが長く延びている。動力はワイヤーのようだが、この長い2線以外は人力かも知れない。
 駅から近いこともあって、その後も何度か立ち寄っている。最新の調査では13両の貨車を確認している。工場の奥まで入ってないので詳しくは判らないが、うち2両は4軸の貨車のように見える。軌間はどう計測しても600mm〜700mmの間。中途半端な軌間である。一応、約650mmとしてある。(どこかに666mmというのがあったかも?)
 尚、早朝は軌道付近にトラックがたくさん停めてあるので、撮影は晴れた日の平日朝8時30分頃がお勧めである。また、工場の裏手の資材置場にトロッコの残骸が何両か転がっているのが鹿児島本線の車窓から確認できる。

《データ》
■九州木材工業梶@[現存・放置車両]

◇福岡県筑後市大字和泉309◇羽犬塚 歩すぐ◇公道からは終日撮影可能
◇区間:工場内◇軌間:約650mm◇動力:巻索他◇敷設日:不明
 

◇参考資料:Tr150(1987.03.06)・Tr151・RM210p75(2000.08.14)

[探索日;2008.09.10]


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