■筑豊の小学校を探れ!


 1985年に廃止になった国鉄香月線の終点、香月駅跡に近い香月小学校には郷土教育の目的で設置された炭鉱に関する資料室があって、中庭には炭鉱で使われていたトロッコが教材として保存されていると知り探ってみた。
 当日はレンタカーで現地に向かったが、小学校へ直に乗入れるわけにもいかず、すぐ隣りにある香月中央公園の駐車場に車を停め、歩いて正門から入った。折りしも昼前で校庭では何やら体育の授業中、給食室からはいい香りが漂っている。勝手に校内をうろついていると通報されそうなので、足早に職員室を探す。校舎の正面と思われる入口から中を覗き込むとすぐに職員室があった。スリッパに履き替えて職員室のドアから中を見ると入口に近い所に年配の教諭が座っていた。おどおどしていると余計に怪しまれそうなので、ここは一気に切り出す。丁重に挨拶をして、こちらの身分を明かし、来意を告げる。すると快くOKして頂いた。
 副校長(教頭先生)?と思われる先生に案内され廊下を歩く。平行に建てられたふたつの校舎をつなぐ渡り廊下に出ると中庭になっていて、すぐ左手に柵で囲われた奇妙なコンクリート建造物があった。「こちらです。」と言われて中を覗くと木製の鉱車があった。
 コンクリートの奇妙な建造物はよく見ると坑口のような形をしていて、中には坑木が鳥居状に組まれていた。ここもかつて炭鉱だったのか?尋ねてみたが、「ここは違います。ただ、ここの地下には今でも坑道が張り巡らされていますよ。」とのことだった。模擬坑道?だったのである。更にこの鉱車は、近くのバスの車庫のあたりにあった石炭積込場にあったものであると教えて頂いた。
 その場所とは、小学校の約100メートル北側にあった、旧国鉄香月線の香月駅跡にある西鉄バスの営業所のことらしく、かつては香月炭鉱(後に大辻炭鉱と改称)があったところだ。と、言うことは木製鉱車は模造品ではなく、ホンモノの大辻炭鉱の鉱車と言うことになる。模擬坑道は荒れているが、中にあったせいか?鉱車の状態は意外といい。
 尚、香月小学校の前身は大辻炭鉱従事者の子供が通うために設立された「私立大辻尋常小学校」だった。かつての炭鉱町にある小学校の実物教材。いつまでも大事に保存される事を願うばかりである。

《データ》
■北九州市立香月小学校 [保存]

◇福岡県北九州市八幡西区香月中央3-3-1◇筑豊香月 歩15 ※見学は必ず許可をとりましょう!
 
《車輌データ》
◇01:大辻炭鉱 FC(木製箱トロ)

[調査日:2010.12.10]



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