■周防大島の港内軌道跡を探れ!


 数あるトロッコ軌道跡の中でも屈指の風光明媚な場所にある。沖に向かって「く」の字形に突き出る堤防上に延びる軌道跡は極めて静かだった。かつては柑橘類の積出しで賑わったであろう港は当時の面影はなく、僅かな数の小舟が係留されているだけだ。
 防波堤の狭い隙間が堤防の入口で、そこから軌道が始まる。すぐにY字で分岐し複線になるが、先で再び合流。右にカーブした先で軌道が終わる。終点にはホイストの跡らしき土台が残っていて、ここが船の積込場だった事が推定できる。
 距離は50メートルは…、ないか?軌間は508ミリ。分岐の感じから人力の台車程度かな…と推測。複線部分は空の台車を効率良く回すための工夫だろうか。そうなると台車が多数あったという事になるが、車輛の類は発見できない。
 一方、堤防の入口から陸側の延長線上にある「橘香会館」と書かれた建物前にも短い軌道が残る。恐らくは元は繋がっていた思うが、軌道の向きが90度くらい違う。間はカーブしていたのか、転車台などがあったのか?痕跡がないので正解は分からないが想像してみるのも楽しい作業だ。橘香会館は今では公民館として活用されているが、かつては柑橘類の倉庫か選果、梱包などの作業場だったと思われる。
 鉄道とは無縁の地域に残る微細な軌道跡は貴重な原始鉄道の現存資料である。

《データ》
■周防大島油良港・橘香会館前 [廃線]

◇山口県大島郡周防大島町油良530付近◇大畠 バス40(油良)→歩すぐ
◇残存区間:港内堤防上他◇残存距離:0.05km◇軌間:508mm◇動力:人力◇敷設日:不明◇廃止日:不明

 

《参考》
◇j train 61p168(2015.11)
ブログ軽探団 師走の長州を探る(2019.12.20)

[探索日:2019.12.20]




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