■美祢の有形文化財を探れ!


 美祢市には以前いくつかの炭鉱があった。南大嶺からは炭鉱に向けて美祢線の支線があったほどだ。
 榎山炭鉱へ向けて車を走らせていた途中、道路からポッカリ開いた坑口が見えた。炭住風の木造家屋が並ぶ中、狭い道路を慎重に進み坑口の前まで来た。吉部鉱業株祢炭鉱荒川水平坑跡だ。
 ここ荒川坑は坑口に掲げられた説明板によれば、明治時代に海軍省の坑道として掘削され大正時代に民間に払下げられ、経営者が何度か変わり、山陽無煙鉱業荒川坑として1970年に一時閉山。その後、1980年に吉部鉱業美祢炭鉱として復活。1991年に完全閉山し現在に至り、坑口と煉瓦の坑道は明治の遺構として2001年9月19日に「美祢市指定有形文化財」に指定されたとのこと。
 この日、美祢市の炭鉱跡をいくつか見てきたが坑口まで近づけるのはココだけであった。周辺は一応、草刈がされているので、手入れはされているようだ。これはやはり有形文化財のおかげなのか?
 坑口は金網で塞がっていて坑道の中には入れないが、坑道内にはトロッコが保管されている。一見、3両に見えるが、よく見ると車軸は4両分ある。
 何年か前までは軌道跡とホッパー、多数の鉱車が残っていたようだが、今は鉱山関連の建物が数棟と坑口付近の僅かな軌道跡、そして写真の坑道だけだ。ホッパーは坑口の平地から一段下の所に土台だけが残っていた。

《データ》
■吉部鉱業美祢炭鉱荒川水平坑跡 [廃線]

◇山口県美祢市奥分荒川◇美祢 バス(集会所前)→歩すぐ◇終日見学可・坑道内立入禁止
◇残存区間:坑口付近◇残存距離:約0.04km◇軌間:610mm◇動力:蓄電池◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 
《車輌データ》
◇01:吉部鉱業 FC(鋼製2軸鉱車 610mm)
◇02:吉部鉱業 FC(鋼製2軸鉱車 610mm)
◇03:吉部鉱業 FC(鋼製2軸鉱車 610mm)
◇04:吉部鉱業 FC(610mm)

[探索日:2009.01.18]

inserted by FC2 system