■中国勝山の醤油蔵を探れ!

 岡山県真庭市勝山にある清友家は元は1868年創業の醤油醸造を行う醤油店であったが1972年に生産をやめてしまった。その後、醤油蔵だった建物などは一部真庭市へ寄贈されて展示館となっているが、残りの部分は住居として使われている。そしてその建物の中には醤油醸造時代に敷設されたトロッコ軌道の跡が今でも残っている。
 現在は普通の民家として使われているため一般公開はされていないが、雛祭りの期間中のみ、ひな人形の公開展示で屋内へ入る事が出来るので、年に1度のチャンスを逃さずに探索してみた。
 中国勝山駅から歩いて商店街を抜けると右手の通りが昔からのメイン通りである。両側には古い建物が並び雛祭りでなくても見る価値がある。建物を覗きながら通りをゆっくり歩く。間口が狭く奥行きが深い建物も多いがトロッコは発見できなかった。やがて左手に勝山郷土資料館が見えて来る。目指す清友家はその向かい側のハズだ。最初に辿り着いた時、まだ時間が早く公開前であったので暫く街中を歩いて時間を潰した。再び戻ると玄関に暖簾が出ていた。玄関の扉も少し開いていて観光客らしき人が出て来た。どうやら公開開始のようだ。
 心を弾ませながら玄関へ向かう。すると暖簾の下に僅かに線路が見えた。ヨシ!
 初めての訪問なのでどの様に公開しているのか分からなかったが、中を覗くと無人で、ご自由にどうぞというスタンスだった。入ってみると左手にお雛様が飾られている。気持ちは完全にトロッコ軌道に向いているが、一応お雛様を見に来た素振りをして探索する。住居として使われているので奥の方は人の気配を感じ当然ながら生活感がある。なので探索も控えめモード。写真撮影は軌道を中心にプライバシーに気を付けながら素早く行った。
 軌道は写真でもお分かりのように、レンガ敷の床に敷設されていて、微妙に曲がりながら奥の扉へ延びる。通路途中にある暖簾には「清友醤油店」の文字が染められていた。「〇」に「ニ」は醸造していたマルニ醤油のマークだ。見える範囲でトロッコは見当たらないが、醸造終了から既に45年の歳月が流れているので残っていないと見て良さそうだ。屋内の残存距離は約10メートル、扉の先は不明であるが、すぐ隣の坂道から見る限りでは軌道は残存していないような雰囲気であった。跡であっても歴史を感じる素晴らしい軌道であった。

《データ》
■清友家(旧清友醤油店) [廃線]

◇岡山県真庭市勝山162◇中国勝山 歩10
◇残存区間:住居部土間◇残存距離:約0.01km(目測)◇動力:人力(推定)◇敷設日:不明◇廃止日:1972年
◇ひな祭り期間のみ一般公開
 

参考:ブログ軽探団「早春の吉備路を探る」2017.03.04

[探索日:2017.03.04]




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