■尼崎の鋼管工場を探れ!


4号機(松山重車輌工業製10トン)

 住友金属工業尼崎に大規模な工場内軌道が存在するのは、ちょっとした鉄道マニアなら知っているハズだ。広大な工場と工場の間を分断する公道上を横切る軌道は誰でも気軽に変わった車輌たち見ることができるスポットになっている。阪神電車の尼崎駅からも徒歩圏にあるので訪れるマニアも多いであろう。ただ軌道車(現地ではトロッコ軌道をこう呼んでいる)の運行にはダイヤなどなく動いている姿を見られるかどうかは運に任せるしかない。1995年に初めて訪れたときは動いている車輌は見ることが出来ずに退散した。
 2011年になってようやく2回目の訪問をした。前回と同じように阪神尼崎駅から南へ歩く。駅から工場まではほぼ一直線の道程だ。高速の下の歩道橋から茶色い工場が見える。小さな橋を渡ると工場の北端だ。更に歩くと西側に門があった。中を覗くと遥か奥の方で緑色の物体が横切って建物の陰に消えた。一瞬だったので写真は撮れなかったが間違いなく機関車だった。
 駅から15分弱で軌道が横切る踏切まで来た。西側の奥に長い貨車が停まっているが機関車の姿は無い。他のポイントも確認する為、更に先まで歩いた。ネット上の地図などでも判るが道の両側に線路がある。工場の南端まで来た。道を直進すると先には稼動橋があるが、ここは左折して大阪方面へ渡る橋の歩道を登った。橋の上からは工場の中を一望できるが橋が微妙に揺れていて気分が悪い。早々に降りて稼動橋まで戻って横断歩道を西側に渡って工場の中を覗く。製品を積んだ明らかに現役の貨車が何両もあったが、ここも機関車の姿はなかったので踏切まで戻って機関車を待つことにした。
 踏切の所には守衛さんがいる。ここでは外から写真撮影する場合でも守衛さんに断るのが礼儀のようなので一応ご挨拶。しばし機関車を待つ。
 西側の奥に停まっている貨車のあたりに緑色の機関車が現れた!貨車の向こう側でウロウロしているが一向にこちらへ来ない。しかし機関車を目の当たりに見ることができるのはココが一番である。すると貨車の姿が少しずつ大きくなってきたような気が…。ん…、来た来た来た!
 推進運転で迫って来た。見張り役の人も伴走するように空荷の貨車に寄り添っている。踏切の手前で一旦停止し、警報機を鳴らし安全を確認すると素早く横切って東側の工場の奥に消えて行ったが、すぐに製品を積んだ貨車を引いて踏切の手前に現れ停車した。少し停車した後、再び警報機を鳴らして西側の工場の奥へ消えて行った。
 その後暫く工場内を眺めていたが機関車は現れなかった。今回の成果は約30分の滞在で1往復の軌道車、久しぶりに生きた軌道を見ることができた。
 尚、帰宅後、写真を整理して気づいたが、最初に現れたのは4号機で戻って行ったのは2号機だった。似ているので気づかなかったが、奥で見えなくなっている間に入替っていたのだった。
 
《データ》
■住友金属工業鋼管カンパニー特殊管事業所 [現存]

所在地:兵庫県尼崎市東向島西之町1 交通:阪神尼崎 歩15
 
区間:鋼管所内 動力:内燃 軌間:762mm
参考:知られざるナローたち・BESTトロッコ・ナローの散歩道など

[調査日:2011.09.28]



inserted by FC2 system