■出石の陶石鉱山を探れ!

 複雑に入り組んだ城下町の賑わいを抜けて出石高校を過ぎると人通りもなくなり静かだ。小さな川沿いをゆっくり進むと谷山地区の集落がある。道沿いに掲げられた谷山地区の案内絵地図を見ると陶石鉱山の坑口が描かれているが柿谷鉱山はその地図より更に奥だった。
 柿谷鉱山の所在地がなかなか判明しなかったが、出石地方の陶石鉱山を調査した古い文献をWEB上で発見しようやく場所がわかった。(同時に鶏塚鉱山も判明)その文献に載っていた地図を頼りにゆっくり鉱山に近付く。すると怪しげな小屋と草むらの中に傾いたトロッコを発見!「ここだっ!」早速車から降りて探索開始である。
 一見して廃鉱山風の佇まいである。壊れた門の扉から入りトロッコに接近するとレールもあった。どういう理由か線路自体が大きく傾いている。鉱石を落としやすいように傾けてあるのか、それとも何らかの力が作用してこうなってしまったのか?トロッコやレールの状態から暫く動かしていないのは明らかである。トロッコは台車のようになっているが元は木製の箱トロだったはずで箱は一体何処にあるのだろうか?トロッコに載せられたトタンの波板の下に何かあるが良く判らない。
 坑口は何処にあるのか?レールを辿ってみると、すぐに土に埋まり水浸し状態。僅かに曲がった軌道らしき部分を濡れないように慎重に進むとすぐに坑口が現われた。坑外部の軌道は約20メートル。坑口には金網でできた扉が設置されていて立入禁止の文字。南京錠で施錠され中には入れないようになっていたが、暗闇の中に軌道が続いているのは確認できる。
 近くの怪しい小屋には岩石採取標識なるものが掲示されていた。それによればここの正式名称は日本陶料鰹o石採石所で採取の期限は平成25年まであり平成19年から継続されている。という事は完全に廃鉱山という訳ではなく休止扱いのようである。一緒に書かれている岩石採取場所を示した地図を見ると坑道はさほど長くはなさそうであった。
 夏の終りと秋の始まりが同居するような陽気の中、心地良い風が鉱山の木を揺らす。柿谷鉱山は城下町の喧騒が遠い世界のように感じる静かな空間であった。
 この後、立入厳禁の写真展で紹介されていた鶏塚鉱山を探してみたが坑口に捨石が積上げられていた。ここもトロッコを使っていたはずだが、この状態では確認不能であった。

《データ》
■日本陶料柿谷鉱山 [現存]

◇兵庫県豊岡市出石町谷山内町88
◇区間:敷地内◇距離:坑道外部0.02km◇軌間:610mm◇動力:人力◇敷設日:不明◇休止日:不明
 
《車輌データ》
◇01:日本陶料 FC(木製2軸 610mm)

[探索日:2011.09.29]




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