■稲美町の酒蔵を探れ!


 兵庫県の中南部に位置する稲美町。町全体が台地で水資源が乏しく溜池が多く点在する。その町の東側、印南にある造り酒屋「井澤本店」にトロッコ軌道が残っている。
 杉玉がぶら下がる門の左手に酒樽が置いてあり、右手には「直売所」の看板が。門をくぐり中へ進むと正面に事務所があった。その左手の扉が開いていて中を覗きながら声を掛けるが反応がない。中に入って事務所を覗くと不在の場合の電話番号があった。携帯でその番号にダイヤルすると…、おっと事務所の電話が鳴ってるよ!何回かコールすると女性が出た。本当はトロッコが目的であったが「今、事務所にいますが、お酒をわけて欲しい」と告げると「ちょっと待ってて下さい」と言って切れた。するとすぐに女性が現れた。どうやら女将さんのようで別棟で作業をしていたらしい。事務所の前に並ぶ酒の中から5合瓶の純米酒を選んで購入。そして本題のトロッコ見学をお願いすると快くOKを頂いた。
 トロッコ軌道は事務所の裏手にあった。すでにレールの溝は埋められていてコンクリート面にレールの頭だけが見える状態だが、ハッキリと見えるので線路配置を見るには十分であった。
 この手のトロッコ軌道は直線的な線路配置が多いが、ここは曲線や分岐があって面白い。中でも事務所裏の背中合わせの分岐(上記写真)は、あまり例を見ない配置であった。軌間は実測値で500mm。残存距離は目測で100メートル近くあるかも。車輛の類は見当たらない。
 トロッコ軌道を見ている間、女将さんの作業が滞りそうなので、早々に切り上げ、お礼を告げて事務所を後にした。今夜はホテルで一杯。旨いだろうな…。

《データ》
■井澤本店 [廃線]

◇兵庫県加古郡稲美町印南818◇土山(北口) バス15(中条)→歩15
◇残存区間:酒蔵敷地内◇残存距離:約0.01km◇軌間:500mm◇動力:人力◇敷設日:不明◇廃止日:不明


◇参考:とれいん 534p62-63(2018.07.28)
    ブログ軽探団 晩秋の播州(失笑)を探る(2019.11.22)

[探索日:2019.11.22]




inserted by FC2 system