■稲美の園芸農家を探れ!


 兵庫県稲美町は鉄道の通らない町だ。この町に行くには山陽本線の土山駅からバス便を利用する事になる。
 その稲美町を地図で確認すると、大部分が田畑で溜池が点在しているのが分かる。一見して農家が多い印象であるが、その中に温室やビニールハウスも多く見られる。そしてその温室でトロッコを利用しているという情報を得てストリートビューで探ってみると、確かにいくつか軌道らしきものがある温室を発見した。ここはその中の一つであった。
 稲美町ではトロッコのある酒蔵「井澤本家」が月刊誌でも取り上げられたが、酒蔵のトロッコとは少し質が異なる。
 町内を通る県道から田畑が広がる道に車を入れる。道の両側は田畑しかなく、車こそ通っているが畦道を行く感覚である。そして前方に目的地の大きな温室が近づいてくる。温室の入口に車を停めると、この風景である。看板類が全くないので施設名称などの詳細が分からない。
 温室から延びる軌道は10メートル弱で▲のアングル材だが、温室内部の距離は長く50メートル以上はあるようだ。温室を貫通して反対側の扉近くまで延びているのが見える。途中には台車のようなものも見えるが、形が変テコ。作業台のような形のワゴン状の台車である。
 温室の中では花やガーデニング用の植物を栽培していて、トロッコは栽培作業や植物の運搬のために敷設されている。もちろん動力車などはなく人力。軌間は400mm。他でも400mm軌道が見られたので軌間は規格ものなのかも知れない。
 農業用のトロッコは植え付けや収穫作業などで使用されることが多く、その場所によって敷設、撤去を簡便に行うようになっているが、ここの軌道はほぼ恒久的に設置されている。この手の軌道は探せばまだまだ発見できるかも知れない。 

《データ》
■稲美町の温室 [現存]

◇兵庫県加古郡稲美町野寺481(最寄の地番) 南80m
◇区間:温室内◇距離:約0.07km◇軌間:400mm◇動力:人力◇敷設日:不明
 

《車輛データ》
◆01:FC(2軸台車 400mm)

[探索日:2019.11.22]




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