■姫路の艇運搬軌道跡を探れ!



 この軌道が初めて紹介されたのは模型誌のTMS誌上で毎月掲載されている小林信夫氏のコーナーであった。模型誌のストラクチャー系記事ではあるが『軽便テイスト』がよく盛り込まれているので毎月チェックを入れたりしている。記事によれば場所は姫路市の木場港とのこと。家にあった兵庫県の地図で所在地を調べてみると姫路市の東部に『木場漁港』の記載があった。現存しているかどうか分からないが、次に関西へ行く時は足を延ばしてみるか…。
 すぐに関西へ行く機会に恵まれた。姫路から山陽電車に揺られ八家駅へ。普通電車しか停まらない駅だが特急が通る本線の駅だけあって小さいとは感じない。改札口を出て国道を渡り、川の左岸を海の方へ進む。一応バス便もあるようだが通る気配は全くない。港までは約1.5km程度。30分も歩けばたどり着くであろう。しかし、真夏の炎天下の中の歩きは体に堪える。10分くらい歩くと潮の香りがする。海が近いようだ。歩いて来た道が左へカーブして川岸から離れて行く所をそのまま川に沿って直進。するとすぐに軌道を発見できた。広い道路の半分以上まで軌道がはみ出して来ているのですぐ判る。
 早速調査開始!まずはこの建物が何の建物なのかの確認だ。建物の隅の方に「出入口につき駐車しない様ご協力お願いします。宇部産業梶@姫路気象梶vを発見!どうやら宇部産業と姫路気象という会社の建物らしい。建物の中を覗き込んで見たが中には何も無い。今は使われていないのだろうか?建物の中のレールはそのまま直進して裏手のシャッターの先まで続いている。建物の裏側にまわってみると、レールはシャッターのすぐ下で途切れていた。周囲の状況からして、どうやら建物から河川まで船を運搬する軌道だったように思える。
 後日、宇部産業と姫路気象の会社についてネットで調べてみたら、宇部産業には当たりは無かったが姫路気象に当たりがあった。現在は社名が変わっているようだが、事業内容の中に「ヨット・ボートの製造、販売およびメンテナンス」とあった。艇運搬軌道で間違いないであろう。

《データ》
■姫路気象・宇部産業 [廃線]

◇兵庫県姫路市木場1417-1◇八家 歩15
◇残存区間:倉庫〜河岸◇距離:約0.03km◇軌間:610mm◇動力:不明◇敷設日:不明◇廃止日:不明
◇参考:TMS750
 

[調査日:2006.08.26]




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