とあるホームページでこの軌道跡の存在を知った時はホントに驚きだった。分岐は一切なく転車台だけで進行方向を変える線路配置が強いインパクトだったのである。しかし所在地がイマイチ明確でなかったので、場所が特定できずにいたのであったが、ある程度断定できたところに関西への出張が入り、とりあえず現地へ行け！とばかりに向かったのであった。いざ行ってみるとビンゴ！であった。（素晴らしい！）
　工場横のスペースに車を停めて早速探索を開始した。建屋には誰もおらず無人状態である。仕方なく周囲を見回すと、向うから農作業をする格好のオッサンが歩いて来たので、声をかけて工場のことを訊ねると、今は工場ではなく、倉庫として貸しているらしいとのことだったが、詳しい話は語らずに行ってしまった。私有地内とは承知していたが、公道から遮るものもなく、特に立入を禁止している看板なども無いので写真撮影と軌間計測だけさせていただいた。
　写真でも判るように、ここは軌道の線路配置がとにかく面白い。上の写真がほぼ全景に近い写真だが、左手前の線路の写真外の所にも転車台があって建屋の左側面からも建屋内へ軌道が入り込んでいる。屋外の転車台は全部で６基である。建屋の隙間から中を覗いてみると建屋の中にも４基の転車台があったが、面白いことに中の転車台は全て十字型で屋外の一型とは違っていた。
　周囲を丹念に調査してみたが残念ながら車輌の類は見当たらなかった。工場が稼動していた時には、レール上をどんなモノが行き来していたのだろうか？興味はつきないが結局、正体は謎のままであった。

《データ》
■播州織の工場跡　［廃線］
◇兵庫県多可郡多可町中区（旧中町）曽我井907◇西脇市　7km弱
◇残存区間：工場跡敷地内◇残存距離：延べ0.1km◇軌間：780mm◇敷設日：不明◇廃止日：不明


※私有地内ですので節度をもって探索しましょう。くれぐれも度が過ぎないようにお願いいたします。

［調査日：2011.09.29］