■茨木の旧商家を探れ！
調べてみると大阪府茨木市は城下町であった。城に関しては全く知識がなく地図に「茨木城跡」と書いてあるのを見て初めて知ったのだが、町を歩くと城下町らしさが随所に感じることができた。
阪急電車の茨木市駅から歩いて10分弱。古い建物が残る江戸時代の街道沿いに１軒の骨董屋さんがある。古いままの建物とは対象的に新しく改装された地面に気付きにくいが良く見ると店先にレールのようなものが埋もれている。1925頃築のこの建家は、明治頃から日用品の卸問屋「川本本店」として商いをしてきたが、それは古い商家時代に利用していたトロッコのレール跡である。2005年頃耐震補強などを施し「骨董福嶋屋」「ギャラリー夢」「カフェ茶論 縁」としてリニューアルした際、床の修復は行ったものの店舗部の軌道は撤去されることなくモニュメントとして再利用されたことに粋を感じる。
軌道は骨董屋の部分の店先から店内を抜けて奥の裏庭の方へ延びている。骨董屋奥の中扉の先の部分は昔のままで倉庫や作業場になっていて、最奥の軌道末端部には台車があった。店先から最奥まで一直線に約30メートル、うち店舗分は10メートルといったところだろうか？
ご主人（「何でも鑑定団」に出て来そうな感じ？）のお話しでは今でも時々使用しているとのこと。残念ながら店舗部分は走行できないが、奥の部分は短いながらも一応現役軌道だったのである。
改装しても撤去されることなく大切に使われているトロッコ。活躍の場はあまりないにせよ、いつまでも残してほしい…、そう願いながら城下町散策をしながら駅へ向かって歩いた。
《データ》
■骨董福嶋屋（旧川本本店） ［廃線・現存］
◇大阪府茨木市上泉町6-29◇茨木市 歩10◇営業時間：11:00-17:00・定休日：26日,日曜日,月曜日
◇区間：店舗～倉庫◇距離：約0.03km（廃線部0.01km・現存部0.02km）◇動力：人力◇敷設年：1925年頃◇部分廃止：2005年
《車輌データ》
◆01：川本本店 FC（木製2軸台車）
［調査日：2011.05.11］
