■京都堀川通り近くの酒屋を探れ!

 グーグルストリートビューで京都の街を探っていると、一見トロッコなどありそうもない店構えの酒屋が現れたのだが、ガラスの扉越しに線路らしき筋が見えたのであった。更に拡大して探ってみるが線路らしき筋は2本あるようにも見える。これは間違いないな…。
 その後もネットで探りを入れてみるが一向に新展開はなかった。とりあえずは現地へ行くしかないな…。確証を得ない発見から1年以上過ぎてようやく京都へ行く機会を得た。
 地図を片手に京の街を歩く。西側からアプローチすると「中久酒店」の看板が見えて来た。そして店の前…、ガラス扉の向こうに2筋の線路が…、あった!ありました!
 まずは店の外観写真を撮影して扉を開けました。足元を再確認します。間違いなく線路です。店内は酒類や飲料水が雑然と置かれていましたが、人の気配がありません。取材のお願いをする前に軌道の写真を1枚だけ押さえます。(断われられると撮影が出来ないので保険です。)素早く撮影して声を掛けてみました。すると奥から女将さんらしき方が現れました。事情を説明すると「どうぞ」と言ってアルミ製の中扉を開けて何処かへ行ってしまいました。これは中まで見えるように開けてくれたのか?奥までどうぞという意味なのか?奥まで入ってみたいとは思いましたが流石にその勇気はありませんでした。
 中扉の向こう側は流しや冷蔵庫が見えます。床面のシートがなくなりコンクリートそのまま。土間の台所のようです。その奥にはアコーディオンカーテンがあって、その下の隙間から更に奥へ線路が延びているのがわかります。左にカーブして軌道面に外光が差し込んでいます。中庭に出ているのでしょうか?足元の線路で軌間を計測すると狭い430oでした。
 軌道がある店内は角打ちができるようなカウンターがありますが、今はやっていないようです。小売りもしてはいますがあまり力は入れていないようで恐らく卸が主のようでした。
 撮影を済ませて再び声を掛けると先ほどの女将さんが出ていました。お礼がてら現役かどうか尋ねてみると「今でも使っていますよ。」との事。貴重な現役軌道でした。どんなトロッコがあるのか?奥には倉庫か蔵などがあるのでしょうか?興味は尽きません。次回は店先から細い通路を抜けて品物がトロッコに載せられて行き来する姿を是非みたいものです。


《データ》
■中久酒店 [現存]

◇京都府京都市上京区芝薬師町631◇今出川 歩15
◇距離:不明◇軌間:430mm◇動力:人力◇敷設日:不明
 


[探索日:2016.03.10]




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