■伊勢の極秘製材所を探れ!

 ※実はまだ現物を確認できていないのであるが、状況証拠がある程度揃ったので発表してみました。

 写真@


 きっかけは約20年前に遡る。1990年1月27日、学生時代の友人達とドライブ途中で伊勢神宮(外宮)を参拝した後、駐車場から伊勢神宮に沿って東方向へ走り出してすぐのところの右手に製材所らしき建物があり、トロッコらしきものがチラっと見えたのであった。この時は立寄ることなく次の目的地へ向かってしまったが、帰宅後、調査してみると伊勢神宮に関連した製材所があることが判った。所在地は伊勢市岡本3-301-2で電話帳にも記載があった。
 最近になって情報整理をしようと思い、この製材所の場所を再確認するためにゼンリンの住宅地図で外宮の周囲を調べてみたが、その場所に製材所は存在しなかった。記憶違いかも知れないと思い、念のため外宮の周囲を見ていたら違う場所に、大規模な製材所らしき施設があり、敷地の中に何と軌道が記されているのであった。当然、ゼンリンの地図を元にしているグーグルやマピオンのネット地図にも記載されている。この場所は当初調べていた製材所のある外宮の東側ではなく西側に位置していた。「これは全く別モノだ!」

これを見よ!
 

 中央の製材所を起点に製材所内を周回するように敷設してある軌道と南東方向へ延びる軌道が見られる。直角の部分はターンテーブルであろう。いくつかの支線は建物内に入っている。
 住宅地図上でざっと計算すると軌道の屋外部分の総延長は300m〜400mに達する。航空写真に切り替えて見る。拡大ができないので明確な情報が得られないが車輌らしきものは確認できないので現役なのか廃線なのかの判別は難しい。
 伊勢神宮系トロッコと言えばトワイライトゾ〜ン14に発表された内宮近くの宇治工作所がある。他にもレイルマガジン135の同じく内宮の風日祈宮のトロッコや新社殿移設工事なども新聞で見たことがある。広い意味では木曽の赤沢も伊勢神宮ガラミである。しかし、これらのトロッコとは合致しない。
 まあ、ネットでの調査には限界があるので、紀伊長島の製材所と合わせて現地に行ってみることにした。

 2009年8月31日の午前中に外宮の北御門参道にある駐車場に立った。目指す製材所は駐車場の奥だ。駐車場の最奥へ行くと門があり「山田工作所」とある。「ここだ!」…。誰もいないが関係者以外進入禁止の看板がある。そしてターゲットまでは距離がある。遠く正面に見える建物からは貯木池へスロープ状の線路(写真B・軌道A)が確認できるが、これは目指すトロッコとは違う。もう少し奥に別の門があるはずなので一旦駐車場から出てそちらへ向かってみた。するとこちらにも門があり同じように「山田工作所」の看板があり、関係者以外進入禁止とある。ゆっくり接近してみると、ここには守衛さんがいたので、来意を告げて、立ち入りと写真撮影の許可を求めてみた。
 すると、守衛さんは一瞬の躊躇いがあったが、丁重に断られてしまった。関係者以外の立ち入りは一切許可していないと言う。理由は一応「危険」と言うことであった。そして…、

守衛さん「何故、(トロッコがあることを?)知ってるの?」
私「インターネットにありました」
守「そう…」

 やっぱり、トロッコは存在するようである。使用されているかどうかは不明ではあるが…。しかし守衛さんに断られては仕方がない。ここは撤退であるが、門からの写真撮影は許可を頂いたので数カット撮影(写真@A)し「失礼しました」とお礼を言ってこの場を後にした。

 写真A


 しかし、これで終わってはガキの遣いである。周囲の一般道から中を窺ってみるが、塀や柵、木立ちなどのガードが固く中が一切見えないようになっていた。最初の駐車場に戻り、さらに望遠で数カット撮影した。(写真B)「外」からの調査はここまでだ。次なる作戦は「中」からのアタックだ。手水でお清めをし、一般の観光客を装い、伊勢神宮の警備さんがいる裏見張所から外宮に入る。宮内に入ってすぐ右手方向へ延びる道に入る。この道の奥には「度会国御神社」と「大津神社」があるが通行人は私以外にいない。深い森の中に道が延びる。右手に「度会国御神社」、「大津神社」があった。目標は更に奥の左手方向だ。道から外れる部分はロープが張られ立入禁止になっている。そしてセキュリティー用のセンサーかカメラか分からないモノが沢山設置してあり、奥へ行けば行くほど増えてくる。私は完全に監視されているようだが、特に悪い事はしていないと思いながら行けるところまで行ってみる。そして行き止まりになった。最奥まで来て…、鬱蒼した森の中をよく見ると…、何と軌道らしきものが確認できるではありませんか!遠くて分かりにくいが軌道に間違いない!…と思う…。(軌道B・写真C)
 一旦引き返して、ここ以外の道も探してみたが立入禁止区域ばかりである。御正殿付近に至っては完全シャットアウトで収穫なしであった。

 写真B
 写真C

※住宅地図、パンフレットと現地調査を元に簡単な地図を作成しました。(下図)



 帰宅後、地図とパンフレット、写真などを整理してみた。すると撮影している時は全く気付かなかったが、何気なく撮った写真にも軌道らしきものが写っていた。(軌道C)更に意外な事が分かった。プリントアウトしたグーグル地図上に、この日私が確認した軌道を加筆修正すると、地図とは違う位置にも軌道が存在しているのであった。(軌道B・軌道C)そして確認した軌道の行方を推測してみると更に長い軌道が存在する可能性も出てきたのであった。地図上の軌道BとCは常識的に考えて独立した軌道とは考え難い。となると、Y地点を通り製材所又はX地点にまで延びるか、Z地点で接続するかと推測するのが妥当ではなかろうか?
 軌道Bの終点は外宮まで延びる可能性も高い。
 軌道Cについては「度会国御神社」、「大津神社」の裏手あたりまで軌道が延びている可能性もある。すると総延長が500m以上に達し、意外と大規模な軌道ということになる。

 伊勢神宮外宮にある山田工作所の軌道については、これほど大規模な軌道である可能性があるにも関わらず、未だかつて発表されていない。(と思う)多分、守衛さんの言う通り「一切取材拒否」ということなのであろう。しかし、こういうトロッコこそ私たちは「見たい、知りたい」のである。再び伊勢方面へ行くことがあったら、また探りを入れてみたいと思う。皆さんも是非探って下さい。但し合法の範囲でね…。

《データ》
■山田工作所 [現存か廃線か?]

◇三重県伊勢市八日市場町・豊川町◇伊勢市 歩10◇500-1700・無休◇無料◇無料P
◇軌道については全く不明であるが、推定では、区間:製材所〜外宮◇距離:約0.5km◇軌間:610mm◇動力:人力◇敷設日:不明
レンタサイクル情報



[調査日:2009.08.31]




inserted by FC2 system