■伊勢柏崎の製材所を探れ!

 以前、紀勢本線に乗って何気なく車窓を眺めていると、1軒の製材所に線路らしきものが見えたのだった。しかしその時は間違いなく線路だ、と言う確証がなく、線路らしきものがあったな…、くらいの認識であった。その後、何度かこの場所を通ったが認識は変わらず確証を得ないまま現地探索となった。
 伊勢柏崎駅で列車を降りると改札口は製材所とは反対側で軌道を確認するには製材所前まで行かねばならない状況だった。製材所は駅のすぐ近くだが、迂回する踏切までは少し距離がある。それでも5分弱で製材所の入口に着いた。首を伸ばすように製材所の中を覗き込むと…、あった!緩やかに曲線を描く軌道がありました。車窓から見えた、らしきものは本当に軌道だったのである。
 まずは公道から写真を撮った。中に事務所らしき建物があるので恐る恐る入ってみる。もしかして日曜日なので誰もいないかも…、とふと事務所を見ると扉が開いていて人の気配があった。声を掛けてみると女将さんらしき方が。来意を告げると一瞬困った表情をしたが奥にいるご主人らしき方をチラっと見てOKしてくれた。特に案内される事もなく適当にどうぞと言った感じだった。
 駅に近い製材所入口から緩やかにS字を描いて製材所の建物の中に軌道が続くが、途中で一部レールが剥がれてしまっている。どうやら軌道は既に使われていないようだ。軌道上には丸太も置いてある。丸太を超えて製材所の建屋に軌道が吸い込まれていった所に台車があった。天板はなく丸太をそのまま載せる構造だ。屋根ギリギリの場所なので雨ざらし状態の為、痛みが見られるが形状は崩れていない。写真を撮って少し押してみたが意外と軽く動いた。
 軌道は建屋の更に奥に延びているが、材木に埋もれて末端は確認できなかった。恐らく台車は1台だけと思われる。軌道長は目測で60メートルくらいだろうか。軌間は610oだった。
 製材所内には放置された木材が多数あるが、新しい丸太もあって稼働しているが規模ほどの盛況はないようだ。それでも軌道や台車が残る製材所は貴重だ。いつまでも現状が維持されることを願いつつ、事務所でお礼を告げて製材所を後にした。最後に振り返って製材所の建屋を見ると、「〇に八、製材工場」と消えかかった看板が確認できた。


《データ》
■丸八製材工場 [廃線]

◇三重県度会郡大紀町崎199◇伊勢柏崎 歩すぐ
◇残存区間:製材所内◇残存距離:約0.06km◇軌間:610mm◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 

《車輛データ》
◇01:丸八製材工場 FC(木製2軸平台車 610mm)

参考:ブログ軽探団「春の尾張・伊勢を探れ!」(2017.03.26)

[探索日:2017.03.26]




inserted by FC2 system