■名古屋堀川端の製材所を探れ!

 1995年5月、2回に渡って名古屋の中川、堀川沿いの製材所系トロッコの一斉探索に出かけた。かたぎり木材はその中で探索した製材所のひとつだった。写真で見ても分かるように当時製材所はまだ稼働中で、台車こそ見なかったがトロッコ軌道も現役であったと思われる。軌道は製材所から公道を挟んだ中川河岸から始まって公道を渡り、製材所の敷地内で微妙にカーブして最後は左にキュッと曲がり建屋の中へ消えて行く。当時の探索メモには約20メートルと記されているが写真を再確認するともう少し長い感じがしている。軌間は590mm(実測値)である。
 当時はまだ製材所トロが多く残っていたが、ここかたぎり木材のトロッコは比較的距離があり、軌道自体もしっかりしていたので、暫く安泰という安心感すらあった。それを象徴するかのように、その後、テレビドラマにも登場したりした。
 しかし、2008年9月の再探索では目を疑うように跡形もなくなっていた。実際、かたぎり木材が何処にあったのかすら分からないほど現地が変貌していたのであった。跡地は違う建物に建替えられ、軌道は完全撤去されていた。
 最初の探索時、たくさんの職人さんが行き来し、河岸の所ではトラックが停まり製材された木材を積込む姿が見られたのが幻だったかのようだった。油断せずにもっと深く探索しておけば良かった…。私にとって今でも後悔の残る軌道のひとつである。


《データ》
■かたぎり木材 [撤去]

◇名古屋市中区正木1-2◇山王 歩5
◇区間:堀川河岸〜製材所内◇距離:約0.02km◇動力:人力◇軌間:590mm◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 
◇参考:RM133・旅853

[探索日:1995.05.11]



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