天竜二俣から秋葉街道を北へ。船明ダムから天竜川に沿って更に北上し川幅が元の幅に戻るあたりに横山の集落がある。ここで秋葉街道と別れ山道を進む。集落を抜けると周囲は山だけで本当にこの先にあるのだろうか？と、不安になってくるが一応バス停は続いている。秋葉街道から約３kmの地点に安蔵というバス停が立っている。バス停のすぐ前に廃工場らしき建物があるが民家はなく一体誰がこのバス停を利用するのか？と疑問がわく。
　このバス停の所から分岐する山道に入り、橋を渡ってすぐの所に製材所跡らしき廃屋が建っている。見るからに今にも倒壊しそうで危険な雰囲気を醸し出している。そしてその建物の左側の地面に僅かに軌道が見えるのだった。
　軌道は瓦礫の下に続いていて良く判らないが、丹念に探索すると建物の横から奥の方に向かって延びているのが確認できる。軌道の長さは推測で約20メートル。軌間は実測値は620mmだったが２フィートとみていいだろう。目的は道路〜製材所内の木材搬入と搬出と思われる。長さからして動力は人力と推測されるが探索では台車などの車輌は発見できなかった。
　人知れず山中に残る軌道跡。朽ちかけた製材所らしき建物と軌道が残る以外に手掛かりはない。「横山川産業」という名称も落ちていたレタリング用の切抜板からの推測である。

《データ》
■横山川産業　［廃線］
◇静岡県浜松市天竜区横山町安蔵◇西鹿島　バス（安蔵）→歩すぐ
　
◇残存区間：製材所内◇残存距離：0.02km◇軌間：610mm◇敷設日：不明◇廃止日：不明

［探索日：2013.06.15］