■遠州森町の製茶工場を探れ!


 「森の石松」で知られる遠州森町は、今でも中心部に道幅の狭い旧街道が通り抜け、古い商店が多く残っている。下宿交差点から旧街道を左右に曲がりながら進むと「松浦儀一郎商店」の旧店舗兼工場がある。現在では「松浦製茶」と改名され更に奥の城下集落に移転し操業しているが、ここ「松浦儀一郎商店」にはかつて使用されたトロッコ軌道が残されている。
 旧街道に面した部分は僅かな駐車スペースがあってアルミのガラス戸が並ぶ。呼鈴がないのでどう探るか思案したが、ココは思い切って扉を開ける事にした。すると開けた所は店舗風のスペースで何も置かれてい空間だったが足元から軌道が始まっていた。何度か入口から大声で声をかけてみたが反応がない。仕方なく一歩中へ足を踏み入れるとセンサーが反応してチャイムが鳴った。すると奥の住居らしき建物からご主人が出て来た。少しバツが悪かったが来意を告げると快く中に案内してくれた。
 旧店舗の建物は通りに面した部分が店舗で中間に住居を挟み、一番奥が製茶工場という配置になっていた。軌道は旧店舗裏から一旦屋外の通路へ出て微妙にカク、カクと曲がりながら製茶工場の入口まで続く。距離は目測で30メートルくらいだろうか?工場の建物も既に空っぽで、現在では住居として使われているのみだ。製茶工場の入口前に木製のトロッコが立てかけられていて車軸も2本残っている。レールに乗せれば今でも使えるとのこと。製茶工場の建物は木造で元校舎を移築したものだという。ご主人とあれこれ話しをしながら探索をした。30分くらいの時間を費やしただろうか。そろそろと思いご主人にお礼を言って後にした。
 帰宅後に松浦製茶のホームページ(トロッコ画像あり)で確認すると「松浦儀一郎商店」の創業は昭和16年(1941年)。平成10年(1998年)には新店舗へ移転している。
 尚、遠州森町で毎年、春と秋に開催される「町並みと蔵展」では松浦儀一郎商店も会場として使用されることもあるようで期間中に訪れればトロッコ跡を見る事も出来るかも知れない。


《データ》
松浦儀一郎商店 [廃線]

◇静岡県周智郡森町森454◇遠州森 歩20
◇区間:敷地入口〜製茶工場前◇距離:約0.03km◇軌間:不明◇動力:人力◇敷設日:昭和30年代前半◇廃止日:不明
 
《車輛データ》
◇01:松浦儀一郎商店 FC(平台車)

◇参考:立入厳禁p174・松浦製茶HP

[探索日:2014.04.01]




inserted by FC2 system