■富士市の機械工場を探れ!

 JR東海道本線の富士駅から西南西方向へ4〜500メートルの交差点角に大きな工場がある。小林製作所という工場で、調べてみると製紙工場などで使用する機械などを製作しているらしい。
 工場は細い公道を挟んで南北に別れていて、かつては工場間を結ぶような形で軌道が敷設されていた。現在は公道上の軌道は撤去されてしまったが、北側の工場内には軌道が残ったままである。北側の工場と南側の工場は今でも工員さんたちが頻繁に行き来しているので扉が開いている事が多い。その北側の工場内を覗き込むと一直線に残る軌道が良く見える。前回、2012年の探索時には軌道の横に鋼製の台車があってレール部の溝が残っていたが、今回の探索ではレール部の溝は埋められ台車の姿も見えない。完全に軌道が使われなくなったようだ。
 この軌道は「立入厳禁」というマニアックな本で紹介されていて、稼働していた頃の様子を窺う事が出来る。工場間の公道上に軌道が走り、鋼製台車をフォークリフトで牽引する姿の写真が掲載されている。
 上記の写真は公道から北側の工場内を見たものである。軌道跡は奥のシャッター向こうまで続いているようだが現状は不明である。一方、手前の南側に工場内は軌道の痕跡は全く残っていない。
 尚、南側の工場には建物の隙間から別路線の軌道が確認出来る。こちらは使われているのかどうかは不明。また、工場の扉から西へ数十メートルの側溝の上に610mmの軌道が50cmくらい残っているが、このレールの意味が全く理解出来ない。かつてそこに軌道があったのか?それとも…。謎の軌道である。
 廃線とは言え、唯一公道から確認できる北側工場の直線軌道だけでも記録しておきたい。


《データ》
■小林製作所 [廃線]

◇静岡県富士市水戸島2-1-1◇富士 歩10
◇残存区間:工場内◇動力:人力・フォークリフト◇軌間:610mm◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 
◇参考:立入厳禁p177

[探索日:2015.12.29]




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