■西伊豆の鰹節工場を探れ!


 静岡県西伊豆町田子の海岸部から国道136号が通る山腹へ登る途中にある小さな鰹節工場と小売りをする店、『カネサ鰹節商店』は1882年創業の老舗だが、現在の工場になったのは1965年だそうである。昔ながらの製法で作られる鰹節はテレビなどでも紹介されて人気らしい…。が、第一の目的はトロッコである。
 店舗の奥に燻製室があって、燻製室への出し入れに鰹を並べた籠を載せた鋼製の台車を利用したトロッコが活躍中だ。軌道の延長距離は推定で20メートルくらいだが、転車台があって中々魅力的である。軌間は750ミリで動力は人力である。
 探索時、休日で工場は稼働していなかったが、売店で店番をしていた大女将(多分)に許可を頂き、燻製室を覗かせて頂いた。
 燻製室入口の外された2本のレールが無造作に置いてあった。一瞬、使われなくなったレールかと思ったが、良く見るとレール下面に桁状の突起があり、それぞれ突起の長さが異なっている。どうやらスロープになった扉外に延長させる組み立てレールのようである。原料、製品の積み下ろしが楽になるアイデアであった。
 燻製室の扉を開けるとすぐに転車台。そのすぐ先に籠を載せた鋼製台車があった。軌道は転車台から直角に右手へ延びて燻製室の扉が並ぶ通路を直線で進み建屋の端まで続く。通路には所々に燻製で使われる薪が積まれ、トロッコ台車も1台壁に立てかけられている。見える範囲で台車は2台確認できた。左手は網状の扉があって、レールが続いているように見えるが残念ながら暗くてハッキリ見えなかった。
 軌間の数値は実測値であるが、750ミリは恐らくはメートル法でフィート法基準の鉄道とは別の起源がありそうだ。鉄道とは余り縁のないメーカーが敷設したのかも知れないが定かではない。
 手短に探索を終えて店舗に戻るとご主人がどこからか戻って来たところだった。何かお話が聞けるかと思ったが「良く見て行きな」と言って奥へ入ってしまった。次回は是非、燻製作業中にお邪魔したいと思いつつ工場を後にした。 

《データ》
■カネサ鰹節商店 [現存]

◇静岡県賀茂郡西伊豆町田子600-1◇修善寺 バス70(中谷)→歩すぐ◇Pあり
◇区間:燻製場内◇距離:約0.02km(推定)◇軌間:750mm◇動力:人力◇敷設日:不明
 

《車輛データ》
◆01:カネサ鰹節店 FC(鋼製2軸台車)
◆02:カネサ鰹節店 FC(鋼製2軸台車)


[探索日:2022.01.22]




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