■瑞浪の長石加工工場を探れ!

 この軌道の存在を知った時は衝撃的であった。今時、未知の現役人力トロッコなんて!
 いつものようにネット検索で彷徨っていると「岐阜県現代陶芸美術館」のツイッターにヒットした。そこには鉱石らしきものを積んだ鋼製トロッコを押している写真がアップされていたのである。 写真と共に説明文もあって、釜戸から川の上流部にある作業場で長石を加工していて、その長石の運搬で手押しトロッコが使われているようだった。グーグルマップを駆使して場所が特定されると何とストリートビューに軌道が写っていた!次の18きっぷシーズンに探索するか…。と、計画していた矢先、せんろ商会の岡本氏よりメールが届いた。それが実にこのトロッコのレポだったのである。ややや、やはり現役の人力トロだったか!
 年末23日の土曜日、釜戸駅に降り立った。工場は稼働しているか?不安はあったが平日の探索が困難なので仕方ない。日曜日よりは稼働している可能性が高いと思った。工場に近くにバス停があるのを確認したがバスは朝に駅に向かう便と夕方戻りの便のみ。探索には使えなかった。距離は概算で2キロちょっとだったので歩く事に。駅前から古い通りを歩き左折。あとは川に沿って上流部を目指す。長石加工工場らしき建物もある。途中で支流に沿って脇道に入ると坂が急になった。目指す工場はもうすぐだ。バス停を過ぎるとすぐ先に目的地が見えて来た。
 ドキドキしながら工場の中を覗くと工場の関係者の方が作業をしていた。あいさつをして軌道の写真撮影をお願いすると「いいけど、今日はトロッコ動かないよ」。ありがとうございます。で、早速撮影開始。工場の機械の隙間を通って軌道のある所まで案内して下さった。
 まずは軌道に沿って原料を積み込む末端部へ。小川を渡る橋があったり、緩くS字にカーブしていたり意外と変化に富んでいて素晴らしい軌道だ。末端部は積込みホームのように一段高くなっている。ひと通り写真に収めて再び工場へ戻る。軌道は工場に向かって少し下り勾配になっていた。
 軌道の途中に分岐があって共に長石を加工する機械の上部に続く。軌道の横に四角い穴があってそこから鉱石を下へ落とすようだ。一方の軌道末端にトロッコが1台停まっていた。トロに鉱石は無く下で機械がゴロゴロ動いていた。トロッコは木製台枠に鋼製の箱が載っていて、片側の側面が開くようになっている。元は古いトロッコのようだが上部は後で換えられたようだ。
 続いてもう一方の末端部へ。同じように機械の上部で終わっていて四角い穴があいていた。トロッコは1台だが鉱石を交互に落として作業をするようだ。
 軌道分岐部の上部に沢水を引いた水路が設けてある。これは以前水車を動力として機械を動かしていた名残の水路らしい。
 撮影を終えて工場に戻ると関係者の方の姿が見えない。機械はまだゴロゴロ動いているが…。工場の隅々まで探してみたが結局見つからずお礼を言えないまま工場を後にしてしまった。本当にすみません。再訪してちゃんとお礼を伝えないと…。帰り道、そう思いながら駅まで歩いた。

《データ》
■丸昭釜戸鉱業組合 [現存]

◇岐阜県瑞浪市釜戸町2386-119◇釜戸 歩40
◇区間:工場内◇距離:0.07km◇軌間:508mm◇動力:人力◇敷設日:1955頃
 

《車輛データ》
◆01:丸昭釜戸鉱業組合 FC(鉱車/508mm)

参考:jtrain068p182-185
   ブログ軽探団「冬の飛騨・美濃を探る」2017.12.23
   岐阜県現代陶芸美術館ツイッター

[探索日:2017.12.23]




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