■昼飯貨物駅の倉庫を探れ!



 普段はあまり持ち歩かないが、今回はネット等で調べた3箇所のナロー軌道の写真3枚をプリントアウトして持参した。ここは初めての探索となるので全く土地勘がない上に、線路が完全に撤去されてしまうと何処にあったのか分からなくなってしまうので、回りの風景と照合するのが目的である。
 西濃鉄道昼飯線は美濃赤坂から分岐して途中駅でスイッチバックし終点昼飯駅まで到る営業キロ1.9kmの石灰石輸送の路線であったが、しばらく休止状態が続いた後、2006年度に正式に廃止になった。
 陽気がいいので大垣駅近くで、いつものようにレンタサイクルを借りることにした。因みに大垣〜美濃赤坂間の営業キロは5.0kmである。18キップがあるので鉄道を利用してもいいのだが、日中の運転本数や現地での足の確保を考慮するとチャリの方が便利と思ったからである。まず最初に美濃赤坂駅周辺を軽く探索してから途中駅の美濃大久保駅へ向かった。怪しげな雰囲気を漂わせていたが、周辺を探索してもトロッコらしきものは発見できなく、先の昼飯駅へ向かう。途中の石灰石鉱山近くは更に怪しさを増し、トワイライトゾ〜ン度が深まる。昼飯駅の駅舎や隣りの有蓋貨車を利用した物置などは怪しさ爆発である。しかし、今日の目的はナロー軌道の線路だ。あまり欲張りな行動はできない。足早に回る。構内にあったホッパーは撤去されてしまったようだ。昼飯線のドン詰まりのところにある坂道を登ってみた。ナロー軌道は見当たらない。すでに撤去されてしまったか…。背後に石灰石を保管する倉庫があった。持参した写真を出して周囲の風景を見比べてみた。すると、何と持参した全ての写真がほぼこの位置でヒットしたのだった。一見バラバラに見えたナロー軌道は1つの路線だったのある。まずは昼飯駅の向こう側の2階建ての民家が照合し、これでホッパー上部にあった線路は撤去されてしまったことがわかった。次に倉庫に延びる軌道の写真だ。一見、軌道は無いように見えたが、倉庫に近づくと埋もれたレールを発見した!これが上の写真である。
 軌道が確認できる部分は倉庫の入口付近の僅か5〜6m程度である。それも大部分が埋もれていてレールの頭だけしか見えない。レールの所に立って、どう延びていたのか想像しながら延長線上を辿ってみたが、レールはこれ以上発見できなかった。
 ところで、この軌道の正体は一体何なんだろう?建物には施設の名称が記されていない。軌道のあるダートを辿ると緩やかな勾配で曲線を描きながら稼動中の石灰石鉱山にたどり着くことがわかった。鉱山名は「上田石灰昼飯鉱業所」である。この鉱山名はJTB刊「全国鉱山鉄道」の資料の中に掲載されていた。それによると動力は蓄電池で軌間610mmであったことがわかる。現地で実測した軌間も610mmであった。状況証拠は一致する。

《データ》
■昼飯駅付近の倉庫 [廃線]

◇岐阜県大垣市昼飯町◇美濃赤坂 歩25
◇残存区間:倉庫入口付近◇残存区間:0.005km◇軌間:610mm◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 

◇参考:レイルマガジン 139p71(1994.11.19)
    レイルマガジン 171(1997)

[調査日:2010.04.08]



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