■松本城下の鰹節店を探れ!

 この軌道を発見できたのは全くの偶然であった。市内の鉱泉浴場「塩井の湯」で探索の〆をした後、帰りの電車まで50分あったのでトロッコ軌道の残る「みずしろ」へ向かう途中、ふと何かを感じて覗き込んだビルの隙間に…、!!!?。
 アングル材を利用しているのでフラットなレール上面が一瞬違うか?と感じたが再度覗き込んでようやく事態が飲み込めたのであった。間違いないトロッコの軌道だ!
 ビルの隙間は僅かであった。因みに軌間は実測値で410mmなので、上の写真から推定して頂きたい。恐らく1メートルに満たないと思われる。
 早速探索開始するが、さて困ったのは軌道の所有者だ。右のビルか左のビルか?何となくだが左側の「植田鰹節店」に飛び込んで店員さん中で一番ベテランと思われる方にトロッコについて切り出してみた。するとすぐ奥に女将さんがいて快諾していただいた。
 店の表に出て待っていると、店の横に扉があって女将さんが出て来て軌道のある通路に招き入れられると奥から台車を出して来ると言う。えっ?台車があるの?訊ねると何と現役のトロッコだそうで、ほぼ毎朝商品を奥の倉庫に運ぶのに使っているという。途中途中で写真を撮影しながら奥へ足を踏み入れる。すると軌道の一番奥に一台の台車があった。木製の平台車だ。軌道両サイドの障害物に合わせて天板がズレていて何故か角を一部落としている。探索の際には是非おさえておきたい車輛だ。軌道の長さは40〜50メートルくらいだろうか。道路からは奥の台車が見えないくらい、奥が深く感じた。
 因みに創業は大正4年(1915)とのことだが、軌道自体はビルになった後に敷設されたと推定されるので比較的新しいのでは。また隣の和菓子店と共同使用しているとのことだが、鰹節店での使用がほとんどだそうである。
 街角の死角で密かに活躍する史上最強レベルの隙間軌道は一見の価値アリである。

《データ》
■植田鰹節店 [現存]

◇長野県松本市大手3-2-18◇松本 歩10
◇区間:店舗横〜倉庫◇距離:◇軌間:410mm◇動力:人力◇敷設日:不明
 
《車輛データ》
◇01:植田鰹節店 FC(木製平台車)

参考文献:とれいん500p64-65(2016.04)
参考:ブログ軽探団2015.12.19
   ブログ軽探団2015.12.13
   ブログ軽探団2016.09.06
   ブログ軽探団2016.08.29

[探索日:2015.12.19]




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