■明科の水産試験場を探れ!

 今年(2015年)の5月にけいてつ協会の岡本様より頂いたメールにここの情報が記されていた。早速WEBで探ってみると…、お〜〜、これは!
 何とグーグルストリートビューでも確認できた。探れば探るほど大きな規模の廃線であることが判明したのである。これは現地へ行かねば…、そう思い8月になってようやく現地探索となった。
 夏季運行のムーンライト信州を利用すると松本着は早すぎて明科方面の接続はない。その為、一度大町方面を探索してから明科を目指すことになった。
 明科駅を降り立つと雲間から日差しが差し込み気温、湿度が高くなって来た。駅から目的地までは500メートルくらい。歩いても10分とかからない距離だ。一度施設の周囲を歩きながら中の線路の具合を確認する。事前に調べた通り相当距離の長い線路が確認できる。ではいざ施設内へ。
 施設の見学は可能との情報は得ていたが、具体的な見学方法は分からずであったので施設の前に行くまで不安であった。しかし、施設の入口まで行くと、「見学される皆様へ」と注意書きが書かれた看板があり、それには「場内はご自由に見学して下さい」とあった。何と注意事項を守れば申し込みも何も不要であった。では早速探索だ!
 この水産試験場は淡水魚(特にニジマス、信州サーモン、アユ、ブラックバスなど)に関する技術開発、繁殖、稚魚供給、駆除などの研究等を行う施設だ。地図を見ればお分かりかと思うが試験場の施設は広く、南北には250メートル、東西は70〜80メートルくらいの規模だ。施設内には魚を飼う池が多数あってその池に沿ってトロッコ用の軌道跡が残る。
 軌道は一部撤去はされているものの、ほぼ全線が確認出来る状態である。廃線の総延長は400〜500メートルくらいはありそうだ。軌間は508mmで急カーブあり分岐ありと意外と変化に富んでいる。軌道がある部分と、軌道があったと思われる部分は全て歩いてみた。1時間もあれば十分と思っていた探索時間はあっという間に過ぎた。
 探索後、情報を下さった岡本氏に報告すると意外な返信を頂いた。「バテロコ程度の機関車が居たような気配を感じた」と言うのである。人力と思い込んで探索していたが、そう言われて改めて写真を確認すると、線路の配線を見ると確かにそんな気配が感じられる。池の周囲を直角に曲がる際、ターンテーブルではなく全て急カーブで向きを変える事、分岐の部分がしっかりしている事、カーブに脱線防止のガイドレールがあるなど、手押しトロの軌道とは若干違う雰囲気はあるようだ。


《データ》
■長野県水産試験場 [廃線]

◇長野県安曇野市明科中川手2871◇明科 歩10
 
◇残存区間:敷地内◇残存距離:不明◇軌間:508mm◇動力:不明◇敷設日:不明◇廃止日:不明

[探索日:2015.08.29]




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