■千曲の作業所を探れ!

 しなの鉄道の下り列車が屋代高校前を発車してすぐ左側に赤い看板に「潟ラヤマ」と書かれた緑色の作業場が目に入るが、作業場は線路とは反対側に向いていて車窓からは緑色の壁しか見えない。それはごく普通の景色で、緑色の壁の裏側に謎のレールがある事など想像すら出来ないのである。
 ここにトロッコのレールが存在するという情報を当サイト、ブログでリンクして頂いている「レイルエンヂニアリング」のoomatipalkさんより頂いた。最初、このネタを頂き写真で確認した時は軌間が少し広い様に見え、レールもしなの鉄道と平行に近い状態だったので、もしかしたらしなの鉄道の引込線、専用線跡かも?と思ったが、考えていても答えは出ない。ならば現地に行ってみるか…。
 師走のしなの鉄道で屋代高校前で下車。駅から「ムラヤマ」までは直線距離にすると400メートルくらいだが、実際歩く距離は倍くらいになる。駅から急ぎ足で約10分、「ムラヤマ」の前に着いた。
 まずはシャッター下から延びる軌道が目に入ったが、シャッターの向こう側で作業をしている気配があったので回り込んでみると、社長さんらしき方が軽トラで積み下ろしの最中。来意を告げ、了解を得てから探索にかかった。
 写真に写る軌道の軌間は780mmであったが、軽トラに接近すると何と荷台後ろのブルーシートの所にも軌道を発見!。この意外性には正直驚いた。まさか2線あるとは!一応軌間を計測すると…、何度か計測してみたが結果は800mm。これは誤差なのか?
 シャッター手前の部分は約15メートル。軽トラ裏の軌道はそれよりも少し短い。資材、製品の運搬が目的で敷設されたと推測できるが、レールの状況から2線共すでに使われている感じはない。一通り探索して最後にシャッターの向こう側を覗き込んだが軌道は無かった。残存しているのは作業場の外側だけのようである。作業場内は資材や機材などがゴチャゴチャ置いてあったが台車等の車輛は発見できなかった。
 作業場の壁のすぐ向こう側はしなの鉄道の線路である。壁一枚隔てただけで全く異なる線路が敷設されている事に不思議さと面白さを感じるのであった。

《データ》
■ムラヤマ [廃線]

◇長野県千曲市屋代2653-1◇屋代高校前 歩10
◇残存区間:敷地内◇残存距離:0.015km◇軌間:780mm◇敷設日:不明◇廃止日:不明
◇残存区間:敷地内◇残存距離:0.01km◇軌間:800mm◇敷設日:不明◇廃止日:不明
※軌間は実測値ですが20mmの差は計測誤差かもしれません。
 

◇参考:ブログ軽探団「師走の信濃路を探る」2015.12.13

[探索日:2015.12.13]




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