■北中込の製材所を探れ!



 高校1年の夏、信州ワイドを使って小海線に乗る目的で出掛けた。まだ本格的にトロッコ巡りを始める以前であった。特に乗り潰しをしていたわけではなかったが、出掛けた理由は単に「小海線に乗ったことがなかったから」であった。それでも、ただ乗るだけでは面白くないので途中の中込で下車して街を歩いてみた。昼時だったので昼食をとって一駅くらい歩くか…。そんな軽い気持ちで歩いていたら昼食もとらず二駅歩いてしまった。次の列車の時間を確認するために一旦駅に入り時刻表を見ると、しばらく列車が来ない。さて、どうしたものか?とりあえず昼食にするか…。ホームから何か店がないかキョロキョロしてみると、向こう側に製材所があり、小海線の線路との間に小さな転車台の残骸が転がっていたのである。あれは…。明らかにトロッコ用だ!。まさか製材所の中に…?昼食そっちのけで製材所の表へ回ってみるとトロッコの線路があった。
 線路は製材所内をほぼ一直線に敷設されていて、機関車はなく一番奥に台車が一台ある。人力で転がすようだ。軌間は508mm、距離は100mくらいか。残念ながら製材所の名前を記録しておらず名称不明である。
 この後、近くの中華屋で味噌ラーメンを食べて再び小海線に乗り北中込駅をあとにした。
 発見から24年後の2003年10月31日、再訪してみると既に製材所は無くなり、軌道も撤去されてしまっていた。
 しかし、最近になってグーグルストリートビューで周辺を探ると小海線の踏切近くに1台のフォークリフトが停まっていて、車体の横に製材所の名前が書かれているのを発見した。そのフォークリフトは上の写真に写り込んでいるものに酷似。そしてその会社は製材所があった場所に建つ建物の2階に残っていたのである。「小松屋木材店」、これがトロッコがあった製材所の名前と断定した。

《データ》
■小松屋木材店 [工場軌道]

◇長野県佐久市中込猿久保3226-1◇北中込 歩すぐ
◇区間:製材所内◇距離:約0.1km◇軌間:508mm◇動力:人力◇敷設日:不明◇廃止日:不明◇撤去日:不明
 


[調査日:1979.08.03]



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