■越前山間部の鉱山跡を探れ!


 福井県の九頭竜川上流域で稼働した「中竜鉱山」は日本亜鉛鉱業が亜鉛、モリブデンなどを採掘した鉱山だが、1987年に閉山。その後、廃坑道を活用したアドベンチャーランド中竜というレジャー施設として復活したが、それも2006年に閉鎖となった。
 今では中竜鉱山の施設は取り壊されて、ほとんど残っていないが、ほんの僅かな距離ではあるが軌道が確認できるのである。
 福井市街から国道158号を越美北線に沿って走る。越前下山駅近くでアンダークロスして数キロ走ると中竜鉱山跡の入口だ。
 国道158号から九頭竜川の支流に沿って山間の道を西へ進むと谷が少し開けて、そこが中竜鉱山跡であった。しかし実際に鉱石を産出していた坑口は更に先。道なりに車を走らせると右手に明らかにホッパー跡と分かるコンクリート製の建造物が現れた。そしてその反対側にはアドベンチャーランド時代に使用された坑口もある。しかしそこに軌道はない。
 ホッパー跡から更に奥に道が延びているが車の通行はここまで。砂利道の林道を徒歩で登る。すると200メートルくらいの地点の右下に軌道が見えた。林道から一段降りて軌道を辿ると坑口があった。
 坑口上部には「中山0m坑口」の表記があるが、鉄格子で塞がれて「立入禁止」の看板。坑道に立入りは出来ないが、中を覗くとしっかりしたコンクリートの坑道が左にカーブしながら奥へ延びていた。鉱車やBLの残骸が残っているという情報もあったが見当たらない。
 坑口から延びる軌道はすぐに分岐し二手に分かれるが、共に先でコンクリート製の車止めで終わる。しかし右手に延びる軌道の先には木製の橋があり、通行は出来ないが明らかにホッパーまで続いていた。木橋も軌道跡と見て間違いない。
 残存する軌道は約20メートルの線路が2本。軌間は610mmである。
 中竜鉱山は資源の枯渇ではなく採算面での閉山であった。中山0m坑口は、坑道のしっかりした造りや保全状況をみると復活があるかも…、そう思わせる僅かな遺構であった。

《データ》
■中竜鉱山跡 [廃線]

◇福井県大野市上大納◇九頭竜湖 バス(中竜)

 

[探索日:2020.11.05]




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