製材所の建屋から延びる一筋の軌道は約10メートル。軌間は508mmで鋼製の台車が1台のみ。通りに近い場所から製材機の横まで移動させるだけの簡単な軌道だが、丸太が並ぶ奥の建屋前には小さなホイストもあり軌道周りの雰囲気は悪くない。
製材所の片隅に車を停めて事務所を訪ねると二階の窓からご主人らしき方が顔を出した。トロッコの取材をお願いするとＯＫ。
金沢に3日間滞在して、初日の朝に製材所前を通ると台車を使って作業中であったが生憎の土砂降りで取材を断念。翌日は福井方面へ行った帰りに寄るも日没。3日目の朝イチでの取材となったが、若干時間が早すぎて作業前だった。なので唯一の台車は一番奥で休んでいた。その台車は鋼製の2軸台車で、Ｈ鋼下部に軸受けがあって、その軸受け付きＨ鋼上部を3本のＨ鋼で渡した構造。重たい丸太を載せる頑丈さを窺わせる。軌道末端の先、レールが途切れた延長線上の浅い溝が切ってある地面に停めてあった。
写真を撮っているとご主人が降りて来て、少しお話をしながら見て回る。軌道は古いが台車は更新されたらしい。「マニアが来ませんか？」と尋ねると「あんたが初めてだよ（笑）」と返された。なので本邦初公開か？一通り見てお礼を告げて切り上げた。
帰宅後、改めて写真を見ると…、公道側末端の手前（写真の下側）…、地面のコンクリートに溝があって曲線を描いて90度向きが変わり公道と平行に。もしやレールがあったのかも！？
《データ》
■山下製材所 ［現存］
◇石川県金沢市間明町1-1◇西金沢 歩30
◇区間：製材所内◇距離：約0.01km◇軌間：508mm◇動力：人力◇敷設日：不明
《車輛データ》
◆01：山下製材所 FC（鋼製2軸台車／508mm）
［探索日：2020.11.06］
