■黒部の廃製材所を探れ!

 富山地鉄の若栗駅から新黒部駅方向へ向かっていると製材所らしき建物が見えた。あまり時間は無かったが何かに引かれるように足を向けた。そして県道14号から中を覗き込むと…、何と少し奥に軌道があったのである。それは全く偶然の発見であった。すると発見と同時に車が1台製材所の中へ入って行く。どうやら製材所の関係者らしい…。慌てて追いかけて取材のお願いをするとOKの返事を頂いた。
 聞くと既に製材所は止めていて、トロッコの線路は県道近くまであったとのこと。ご自由にどうぞと言った感じで何処かへ行ってしまった。
 早速探索を開始する。まずは軌間を計測すると620mmであった。軌道はほぼ直線で屋外部が約30メートル、屋内が約20メートルで計50メートルくらいだろうか。県道までは更に10メートルくらいだ。
 製材所の中へ入ると軌道の溝に角材が埋められていた。これは製材所が稼働していた時期に既にトロッコは使われなくなったと推測できる。軽自動車が1台停まっているが、普段は車庫として使われているようだ。更に奥へ進むと角材や板材が残っているが既に変色していて廃業してから暫く時間が経っているのを物語っていた。そして軌道の末端には木材に埋もれた1台の台車があった。しゃがみ込んで覗くと2軸で鋼製の台枠が確認できる。ホイールベースは長めで連結器はない。重量物を人力で運搬したようである。
 また、建屋の端には製材機のレールもあった。レール上には平台車と鋸台車があったが、これは製材用機械なのでトロッコとしてカウントしない。
 一通り探索を終えてお礼をしようと関係の方を探すが、隣接の家で声をかけても無反応であった。仕方なくお礼を言えぬまま製材所を後にした。
 偶然発見できたトロッコ軌道跡。台車が残っているのも大変貴重である。これだからトロ探索はやめられない。

《データ》
■舘野製材 [廃線・保存]

◇富山県黒部市若栗2483◇若栗 歩5
◇残存区間:製材所内◇残存距離:約0.05km◇軌間:620mm(実測値)◇動力:人力◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 

《車輛データ》
◇01:舘野製材 FC(鋼製2軸平台車 620mm)

[探索日:2016.09.09]




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