■井波の製材所を探れ!


 南砺市井波は旧東礪波郡井波町の中心地だったところだ。その旧町内には今でも製材、彫刻、建具などで商いをしている所が多く、木材関連が盛んであった事が窺える。旧町役場跡を利用した南砺市行政センターの隣に位置する大浦製材所を探索してみた。最寄駅は城端線の福野駅になるが、かつては製材所から500メートルくらいのところに加越線の井波駅があった。
 大浦製材所はグーグルマップとストリートビューで富山県の製材所を探った時に発見した、軌道が残る製材所のひとつだったが、他の製材所とは違い軌道が2線確認できたのである。
 2018年初秋、レンタカーで現地を目指した。行政センターの前の道から大浦製材所に近づくと車の中から軌道が確認できた。事務所兼住宅らしい建物の向かい側にある駐車場近くに車を停めた。すると事務所の横の水道で長靴を洗っている初老の男性がいた。ご主人のような感じだったので声を掛けて、探索をお願いすると首を縦に振ってまた長靴を洗い始めた。
 事務所横にある軌道を辿って製材小屋へ。小屋の中に停めてあるフォークリフトの奥が軌道の末端であった。
 軌道は製材小屋から二手に分岐。直進する軌道は一部残っているものの途中が撤去されている。その延長の公道の向こう側は材木置場になっているので、かつてはそこまで軌道が延びていたのかも知れない。残存距離は目測で10メートルくらいだが、撤去された部分の推定は3〜40メートルにも達するだろうか?
 一方、分岐して左手に延びる軌道は、比較的軌道が残っていて事務所の横まで続く。事務所横まで30メートル程度。レールとコンクリートの隙間に草が生えていて緑のレールだ。こちらも公道を越えて向こう側にある駐車場まで延びていた感じだ。恐らく貯木場か製品置場があったに違いない。更に20メートルくらいプラスか。
 レールが残る軌道跡は約40メートル。撤去部分を加えると約60メートルくらいになるだろうか。更に道路を隔てた所まで伸ばすと8〜90メートルくらいに達する長い軌道だった可能性もある。軌間は610mm。動力は人力と推定したが、製材所内には太い木材も置いてあるので車輛は頑丈な台車だった可能性もあり、フォークリフトなどを利用していた可能性もある。一通り製材所内の軌道を撮影するが残念ながら台車などの車輛は見当たらず、軌道跡の写真だけ撮って製材所を後にした。
 尚、井波の街は古い建物も多く、旧市街地も探索する価値がありそうだった。

《データ》
■大浦製材所 [廃線]

◇富山県南砺市井波3255◇福野 歩60
◇残存区間:製材所内(途中分岐)◇残存距離:約0.04km(目測)◇軌間:610mm◇動力:人力◇敷設日:不明◇廃止日:不明



参考:ブログ軽探団「初秋の越中を探る その1」2018.09.02

[探索日:2018.09.02]




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