■ナロー改軌の軌道を探れ!

 1992年夏、元登山家のHさん(立山砂防にも同行)と新潟方面へドライブに出た。深夜の関越道を北へ、特にあてもなく走った。途中、越後川口のSAで仮眠をとり、翌朝、新潟の市場で魚介類を買い込んだ。簡単なキャンプ道具一式を積んで来ているので、適当な場所で野営する魂胆である。これで酒と肴は準備万端である。日が落ちるまでまだ間があったので、東赤谷にある赤谷鉱産のナローの専用線を見に行こうと提案するとHさんも乗ってくれた。
 ここは元々、国鉄赤谷線と繋がっていたサブロクの鉄道だったが、2フィーターに改軌し再敷設されるという変わった経歴を持っている。新発田から出ていた赤谷線は既に廃止されているので専用線は鉄道とは接続していない。途中から赤谷線に沿った道を進み、山が深くなってきた所で東赤谷に着いた。赤谷線の駅跡はだいぶ痕跡が無くなっていたが辛うじて線路の跡だけが認識できた。さて、この奥にある専用線は如何に…。
 ゆっくり車を進めると道路下の左手に怪しげな建物が見えた。車を降りて接近してみる。すぐに線路を発見したが錆がきていて使われていない様子…。周囲にも錆びた鉱車や電気機関車が放置状態…。完全に廃線の感じが漂っていた。
 線路を辿って建物の中を覗きこむと、もう一台電気機関車があった。屋内の頭上には架線も張ってある。気をつけないと触れてしまいそうな高さであった。こちらはまだ稼動中の感がある。薄暗い建物の奥に向かって軌道が延びている。このままスノーシェッドに吸い込まれて行くのであろうか?一旦建物から離れて車に戻り鉱山がある方向へ行ってみる。すると道路の横に怪しいトンネル状のものが現れ暫く並行した。途中、途切れた部分があったので中を覗いてみると線路は微妙な錆具合である。周囲を暫し探索してみたが結局車両が走っている姿を見ることは出来なかった。



 

 この後、我々は東赤谷を後にして野営地の探しながら磐越西線に沿って会津方面へ車を走らせた。三川で温泉に入り夕方暗くなる前に野営地に決めたのは徳沢駅前の平らな場所であった。早速テントを張り、炭を熾して海鮮BBQ。途中から雨が降り出して野営するにはコンディションが悪かったが初体験の駅前キャンプは楽しかった。夜中には保線用の車両も動き出したり…。ほろ酔い加減で夜は更けていった。

《データ》
■叶ヤ谷鉱産 [現存・放置] ※1998年廃止

◇新潟県新発田市大字赤谷東赤谷◇新発田 バス50(東赤谷)→歩5
 
◇区間:東赤谷〜鉱業所◇距離:4.4km◇動力:DC550V・蓄電池◇軌間:610mm◇1957年ナロー軌道開通
◇参考:知られざるナローたちp28(1979.09・1980.08)など

[調査日:1992.07.23]



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