■ハマ地下トロッコを探れ


 全国で一体どれくらいのシールド工法によるトンネル掘削工事が行われているのであろうか?そのほとんどが人知れず山中や地下で行われ人目に触れることなく線路が敷かれ、何事も無かったかかのように撤去され、記録や記憶の中から消えて行くのであろう。今回、そんな工事軌道を見学する機会を地元の横浜市で得て現場に潜入したのであった。
 横浜市下水道局の工事見学会に参加するのは一昨年以来2度目である。前回は参加者数が少なかったが、今回は会場に入ると机に20名近くの資料が並べられていた。今回は多いようだ。
 見学会が始まると工事概要、下水道の仕組や役割などの一通り説明などを聞いた後、いよいよ地下のメインの現場見学となる。説明の中にトロッコの件は出て来なかったが、パンフレットには軌道の写真とトロッコの図が載っているので安心である。現場では基本のヘルメット、軍手を着用し金網だけで囲われた工事用エレベーターに分散して乗り込む。原始的な扉を閉めてスイッチを押すとゆっくり下降する。深さは約35メートルの竪坑をゆっくりと時間をかけて降りる。下まで降りるとようやく軌道の末端部に着いた。上からは見えなかったが、すぐに掘削横穴に入った所に黄色いBLと2軸の長物車が2両の3両編成の工事トロッコが停まっているのが見えた。(よしっ!)ここからは下水道工事に興味があるフリをしながらトロッコや軌道の写真を撮りまくった。
 案内人に続いて坑道を軌道に沿って歩く。内径約3メートルの筒が緩いカーブを描きながら単調に続く。約200メートル進んだ所でロープが張ってあり見学はココまで。案内人に質問をしながら工事の詳細について話しを聞く。完成すれば全長1400メートル強のトンネルになり、現在約800メートルまで掘り進んでいて、一日で約10メートル前進するそうだ。ということは残り600メートルは60日で掘削完了の計算だ。
 暫くして歩いて来た通路を元の方向へ戻った。竪坑の下まで来るとエレベーターが戻るまでの間、再び撮影タイム。そして暫しトロッコの観察をする。
 長物車は長さの割りに2軸車であった。これはトンネル内部を構成するセグメントという鋼材を掘削部まで輸送する為の車輌だ。掘削現場に向かって推進運転で進む。BLについては良く分からないがバッテリーの横に持込受理証のシールが貼られていて所有者「キザイ工業」「3t」などと記載されている。(ブログを見た方から「トモエの510」とご教示いただきました)この「キザイ工業」っていうのも探ってみたい感じである。
 約1時間半の見学を終え現場を後にした。外に出ると軌道がある真上は普通の生活道路で、この地下にトロッコが走っているなんて事は全く想像できなかった。もしかしたら私達の身近な所でも知られざる地下トロッコが密かに活躍しているかも知れませんね。

《データ》
■竹中土木・宮本建設JV港北処理区新羽幹線太尾支線下水道工事軌道 [現存]

◇神奈川県横浜市港北区大倉山6-19-1◇新羽 歩15
◇区間:太尾ポンプ場〜掘削地点◇距離:約0.8km(2012.05.26現在)◇軌間:610mm◇動力:蓄電池
 

[探索日:2012.05.26]




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