■ハマの水道トロッコを探れ!


 水道とトロッコ、そのつながりは東京の羽村山口軽便鉄道や、境浄水場のナベトロなどで見てとれるが、同じ水道つながりでも前者と後者では全く異質のものである。その違いは説明するまでもないと思うが、前者は主に導水管建設の為のものであり、後者は浄水場のメンテナンス用である。
 当HPでも境浄水場のナベトロを既に紹介しているが、私の地元横浜にも保存されていて今でも見ることができる。
 相鉄線上星川駅から南側へ出て坂道を登った高台に西谷浄水場があり、その一角に横浜市水道記念館があって水道技術資料館が併設されている。ここは日中、一般にも開放されていて気軽に見学できるようになっている。中には水道に関する様々な展示物や紹介パネルなどがあって、一番奥にはナベトロ、その少し手前には木製の平台車が展示されている。
 ナベトロについては境浄水場のモノと同じく浄水場のメンテナンスの為、濾過用の砂の運搬に使われたモノだ。そして手前の木製平台車は導水管工事に使われたモノで、こちらはかなり年季が入っている。簡単な説明板もあって、それによれば「トロッコは、イギリスから輸入した軽便軌条を利用して、鉄管・鉛塊・レンガ等の運搬に使われたもので、運搬路は、長住町出張所(今の日本丸のあるところ)から、荒川渡船場(城山ダムあたり)に至っていた。」とある。この工事用軌道については「鉄道廃線跡を歩くX」や「知られざる鉄道U」で共にけいてつ協会の岡本氏が執筆しているので詳細はそちらを参照して頂くとするが、明治期に敷設された軌間500mmの人力軌道に端を発した工事軌道は、後に軌間610mmに変更し敷設しなおされ、全長40km以上に及ぶ人力軌道は昭和20年代まで続いたというから驚きである。で、保存されている平台車は軌間600mm(実測値)であったので軌間変更後のモノだ。この手の車両は中々保存される機会が少なく非常に貴重なモノであるで是非ご覧頂きたい。
 尚、駅から来る坂の途中(信号機がある交差点)に旧計量器室が残っていて、その対角の民家横にトロッコ用のレールで出来た柵と立看板があるので寄ってみて下さい。(小ネタ特集で紹介してます)
 また、旭区の川井本町にも、この工事トロッコに関する展示物があります。(こちらは「特派員情報」で紹介)


《データ》
■横浜市水道記念館 水道技術資料館 045-371-1621 [保存] HP

◇神奈川県横浜市保土ヶ谷区川島町522◇和田町 歩15◇9:00-17:00・第1月曜日(4-8月)・月曜日(9-3月)◇入館無料◇P(バイクのみ)

 
《車輌データ》
◇01:横浜市西谷浄水場 FC(鋼製2軸 ナベトロ 610mm)
◇02:横浜市導水管工事 FC(木製2軸 平台車 610mm)

◇参考:知られざる鉄道U

[調査日:2010.11.28]




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