■木立ちの中の廃軌道を探れ!



 幻のトロッコ本『立入厳禁』のp169に登場する「若林組倉庫」がこの前身である。しばらく所在地が分からないでいたが、最近になってWEB上で「若林組倉庫」で検索したらYahooの地図に当たりが出たので早速出かけてみた。場所は「トザン」の入生田駅の近くだ。
 「トザン」の入生田車庫の裏手の迷路のような細い道から紹太寺を目指す。残念ながら名物の3線区間が短縮されて起点の小田原駅まで乗入れなくなった本家「トザン」の電車は入生田車庫が運行の最下限となってしまった。車庫の片隅では106型電車が懐かしい塗装で休んでいた。入生田の集落から山の方へ坂を登ると木々が多くなり突然山の中に入った感覚に襲われる。若林組倉庫は紹太寺のすぐ手前のはずだ。坂を登り始めてすぐ左手に目的地はあった。果たして軌道があるかないか?ドキドキしながら中を覗きこんで見ると………、ありました。ようやく発見であります!会社の名前が違ってはいたが見覚えのある倉庫だ。社名の看板だけが新しく取り付けられている。
 倉庫の中までは確認できないので総延長は分からないが地図と現地の状況から見積もると長くても30m弱といったところか。軌間は610mm、車両は見当たらない。軌道がコンクリートに埋もれていることから、既に使われてはいないようである。規模からして動力は人力であったと推測した。
 まだ五月だというのに夏のような陽気の昼下がり、暑い日差しの中の廃軌道は、のんびりとした時間だけが流れていた。

《データ》
■新建工倉庫(旧若林組倉庫) [廃線]

◇神奈川県小田原市入生田312(隣りの隣りの番地です)◇入生田 歩10
◇区間:敷地内◇距離:約0.02km◇軌間:610mm◇動力:人力◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 

[調査日:2009.05.26]

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