■驚愕の海上廃軌道を探れ!



 今まで見た廃線の中でもトップレベルの朽ち具合である。見た瞬間、一瞬息をのんだ。
 カーブが多く見通しの悪い国道134号線の「円乗院前」信号から海岸へ降りる道へ入った。200メートルくらい進むと車両進入禁止のロープが張ってあり、そこから先は漁港の敷地になる。中では漁師さんたちが忙しそうに蛸壺の手入れをしていた。手前の広場にバイクを停めて突き当たりの防波堤まで歩いた。そして防波堤から海を覗き込むように顔を出すと写真の光景が目に入る。「なんじゃこりゃ!」
 防波堤の上から沖にある小島?に一直線に延びる廃軌道は潮によって赤錆に蝕まれレールの一部は海中に落下している。鉄製枕木と一体となったレールは道床などなく、か細い支柱だけで支えられている。軌間を計測すると508mmなので重量物を運んでいたとは考えにくい。海中には所々、コンクリートの台が残っているが、この軌道のものかどうかは分からない。
 一体、この軌道は何のために敷設されたのであろうか?沖の小島にはクレーンの支柱の残骸のようなものが残されている。また、コンクリート製の小島の中は5〜6区画に仕切られているのが確認できる。これは生簀代わりに使われていたのではないだろうか?と、言うことはこの軌道は海産物を運ぶために敷設されたのでは?と推測できる。
 軌道は撤去されずに残っているので何かトロッコは残っていないか、港の中に置いてある漁具の山を探してみたが残念ながら車両の類は見当たらなかった。(もっと良く探せば見つかるかも知れないが…)
 漁港で作業している漁師さんたちに話しを伺えばすぐに答えは出そうであるが敢えて聞かずに帰ろう。やがて朽ち果てるであろう廃軌道の昔を想像しつつ…。

《データ》
■久留和漁港 [廃線]

◇神奈川県横須賀市秋谷 久留和漁港◇逗子 バス(久留和港)→歩5
◇区間:堤防上〜沖合◇距離:約0.04km◇軌間:508mm◇動力:人力(推定)◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 

[調査日:2010.05.28]


inserted by FC2 system