■鶴見の月極駐車場を探れ!


 横浜市鶴見区の住宅地の中にごく普通の月極駐車場がある。その駐車場の周囲を取り囲むように金網のフェンスが張り巡らされているが、金網に混じって何故か1本だけレールがひっそりと立っている。一般の人はモチロン、おそらく普通の鉄道ファンでも気にすることなく通り過ぎるだろう。トロッコ用なのか?それとも門扉用か何かのなのか?このレールの素性は全くもって不明である。
 あたりに人影がないのを確認して、レールを調べてみた。(怪しさ大爆発である!)するとレールの高さは約50mm、頭の幅は約30mm。トワイライトゾーンマニュアルの表に当てはめると若干規定から外れているが概ね6kg/mレールのサイズのようだ。上端にジョイント用と思われる穴が2つ開いているので一応トロッコ用と推測した。現在、駐車場の周辺はたくさんの住宅が立ち並ぶが以前は畑が多かった。ここも駐車場になる以前は畑だったと思われる。周辺にトロッコの気配は全くない・・・、のである。しかし・・・、
 最近になって図書館で偶然読んだ本に少し気になる記述があった。本のタイトルは『第二京浜国道と鶴見めがね橋物語』。地元に古くから住む人からの聞き取り調査を元に書かれた本だ。その中に、近くを通る獅子ヶ谷道路を整備する際、工事用のトロッコが使われていたという証言が出てくるのである。駐車場から獅子ヶ谷道路まで僅か数十メートル。工事の時期は1931〜1935頃というから、今から70年以上昔の話だ。
 今となっては、このレールの正体を解明するのは不可能に近いだろう。レールと工事用トロッコを結びつける証拠も何も無い。ただ何となくこのレールが昔の工事用トロッコのものかも知れない、そう考えるだけでも、いつまでも抜かれることなく、この場所に立っていて欲しい、そう願うのである。

《データ》
■北寺尾パーキング [その他]

◇神奈川県横浜市鶴見区北寺尾4-5◇鶴見(西口)バス10(北寺尾)→歩5◇公道から終日見学可能
 

[探索日:2008.10.09]



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