■大量機関車の列を探れ!


 1987年頃、仕事で南武線の南多摩駅をよく利用していた。駅のすぐ裏手に工場のような倉庫のような怪しげな建物があって、その敷地の屋外にDLやBLが大量に並べられていたのであった。建物には『日熊工機東京工場』『日本車輌の建設機械』と書かれてある。どうやら機関車の整備、修理や保管などをしているようだ。トロッコマニアの私としては当然、見過ごすわけにはいかない施設である。
 正式な入口は府中街道(川崎街道)側にあるが、駅の改札口を出てホーム横の踏切を渡ったところに通用門があった。ある日、カメラ片手に通用門から侵入してみた。すると、建物の中で作業している人がいたので写真撮影の許可をもらい、機関車の写真を撮った。一列に並べられた日車のUDLは壮観であった。看板にあるように、ここにある機関車はすべて日本車輌製でトンネルや地下で使われる工事用機関車だった。
 日頃から通い慣れていた場所だったので呑気に構えていたのか?いつでも来られる安心感から、この日はロクな調査も記録もせず、深入りしないで写真を少し撮っただけで引き上げた。
 後日、この施設の事を大学時代の同じ鉄系サークルの友人I氏に教えた。行動力では私の何十倍もある彼は即、現地調査した。それによると、社名の『日熊工機』は『日本車輌』の『日』と『熊谷組』の『熊』で、『にちゆう』と読む。機関車だけでなく建設機械全般のメンテナンスが主な業務内容との事。また余談ながら、埼玉県の武蔵野炭鉱で活躍するUDLには日熊工機の表記があるらしい。
 そしてその後、突然、この工場がなくなった。並べてあった機関車も忽然と姿を消してしまったのであった。

《データ》
■日熊工機東京工場 [保存]

◇東京都稲城市大丸1000◇南多摩 歩すぐ
◇参考:とれいん・RM147p85
 

  

  

 


[調査日:1987.04頃]




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