■東陽町の下水道工事現場を探れ!

 東京の地下ではどんな工事が行われているのか?数少ない見学の機会を得て探索したのは、東京地下水道局発注の江東幹線工事の現場である。工事を受注したのは大豊・錢高建設共同企業体で掘削工事はシールド工法で行われ、資材を運ぶ為にトロッコが使用されている。工事の起点となるのは江東区東陽6-6に設置された防音ハウスの地下33メートルの地点だ。
 立坑を降りると軌道は複線だがトンネルに入るとすぐに単線になって切羽に向かう。見学した時点で切羽までの距離は1,000メートルとのこと。この工事の延長は2,173.25メートルなので約半分進んだことになるが、工事自体は更に東雲の江東ポンプ場まで延長される予定で全体では4,488.80メートルに達する。
 軌道で使われている車輛は3両で、トモエ製のBLと長物車の様な形状の2軸の鋼製台車が2台。トンネル壁面になるセグメントと呼ばれる資材を積んで推進運転で現場へ向かう。この運行方式はシールド工法の現場では標準的なものである。
 今回探索できたのは立坑から僅かな部分で、少し先でカーブになっていたので軌道の様子は立坑付近しか判らない状況であった。丸い断面の中を延びる軌道は何処か芸術的で、カーブの先のその光景を見られなかったのは非常に残念であった。
 本工事は下水道工事の為、ほんの僅かではあるが現場へ向かって下っている。その勾配は0.5‰、最急曲線はR30となっている。
 今日も人目に触れず活躍している工事トロ。その全容をつかむのは不可能に近い状態だが、少しでも多く探索して記録を残しておきたい…、そう思いながら立坑のエレベーターに乗り込み地上に戻るのであった。


《データ》
■江東幹線工事軌道 [現存]

◇東京都江東区東陽6-6◇木場 歩10
 
◇区間:発進立坑〜切羽◇距離:1km(2015.06.23現在)◇動力:蓄電池

《車輛データ》
◆01:BL(トモエ/3t B型)
◆02:FC(鋼製2軸台車)
◆03:FC(鋼製2軸台車)

参考:江東幹線工事パンフレット その1 ・その2その3

[探索日:2015.06.23]




inserted by FC2 system