■緊急調査!奇跡のトロッコを探れ!




 レイルマガジン311(2009-08号)のトワイライトゾ〜ンで発表された「多摩川のトロッコ」は真に衝撃的である。とにかく「信じられない!」の一言に尽きる。何が信じられないか…って、この様なトロッコが発見された事、この様な所に出現した事、更にこの様なレポートがWEB上でなくメジャー誌に発表された事など…、全てにおいて奇跡としか言い様がない。レポートを読んでから、その存在が気になって仕方がないので、誌上で発表された10日後、梅雨空の合間を縫って緊急調査に出掛けてみた。
 天気予報の「日中は曇り」を信じて和泉多摩川の改札口を出たが、雨が降り出してもおかしくない空模様である。湿気があって不快指数も高めだ。まずは世田谷通りに沿って土手まで行き、土手の上を上流に向かって歩く。河川敷には背の高い草が生い茂っていて道らしき道がなく土手から水辺まで距離もある。明確な場所もわからず、果たしてどうしたものか…?一人で思案したが、とにかく水辺までは行かなければ話しにならないと思い、土手の上から草の少ない部分に見当をつけて河川敷に降りてみた。コンクリートの階段から水辺に向かって細い道が続いている。が…、途中で道が途絶えてしまった!戻るか…?しかし良く見ると草が踏み分けられた跡がうっすらと確認できた。草の背が高くて行く手が見えないので少し恐怖感もある。「ラッセル団長」を誘えば良かったと後悔しながらも進んでみる。昨夜の雨を含んだ草に触れると着ていたジーンズが瞬く間に濡れていく。鋭利な葉っぱで指先も切れそう。(実際、若干切れてました)来るなら草の少ない秋か冬の晴れた日が良さそうだ。10mくらいで藪は抜けて、大きめの石がゴロゴロした開けた所に出た。ここから草木の少な目の部分を狙って一気に水辺まで抜けた。あたりを見回すと…、発見!!ありました!調査は難航を予想していたが意外にもあっさり発見できた。近づいてよく観察すると、半分は水没して川の流れに洗われている。やはりこのトロッコの発見は奇跡としか思えない。よくぞ出現したものだ。
 トロッコの詳細はRM誌を参照していただくとして、実物を見てやはり考えるのは、「何に使われたトロッコだろうか?」という事である。RM誌の報告では「砂利採集か堤防工事ではないか?」と推測していたが、その推測は正しいと思う。私の持っている「誰もが知ってる極秘ファイル」(何じゃそりゃ!)には和泉多摩川付近での砂利採集と堤防工事の軌道は見つからない。近くでは調布(京王閣付近)か是政、また、対岸のやや上流に位置する旧中野島駅から出ていた砂利採集軌道がある。他の場所から長年の歳月をかけてこの地へ流されて来たものなのだろうか?この謎を解決する手がかりは何もない。
 近くに軌匡もあるとのことなので探してみた。するとトロッコから10〜20mくらい上流の水辺の草むらの中に発見できた。もし上流から流されて来たという事なら、トロッコと軌匡がこんな近くに存在するのは偶然過ぎるような気がする。それなら元々この付近で使われていたものだったという推理が妥当なところではないだろうか?この謎解きには暫く時間がかかりそうだ。(迷宮入りかも知れないが…)それにしても、このトロッコ、いつまでこの状態で存在するのか?真にこの「奇跡のトロッコ」、姿を留めているうちに見ておきたい。

※2012.02.28現地確認により、トロッコについては水没か流失、軌匡については流失を確認しました。

《データ》
■和泉多摩川のトロッコ [放置]

◇東京都狛江市元和泉3-12地先◇和泉多摩川 歩15
◇01:FC(木製2軸 610mm)
◇参考:RM311p141(2009.04.29)
 

[調査日:2009.07.01・2012.02.28]


  

  

 トロッコのほんの少し上流に軌匡がありました

 2012.02.28ほぼ同地点より



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