■都会に潜む謎の軌道跡を探れ!

 2008.02.15撮影


 東京都千代田区岩本町…、と言えば秋葉原、日本橋、神田からも近く東京の中心部に位置するエリアである。そんな岩本町にトロッコのレールが残っているという新聞記事がレイルマガジン2006年2月号(269)に掲載された。
 その情報によれば、場所は岩本町のとある駐車場。軌間は約60cm。近所に住む老人は、以前この場所には金物問屋があったと証言する。・・・
 本当に東京のド真中にそんな軌道跡が存在するのであろうか?早速、この軌道について探ってみた。
 2005年も暮れようとしている12月30日、詳しい場所も分からぬまま、JR新日本橋駅から岩本町方面へ歩いてみた。土地勘のない場所で結構頼りになるのは、街角に掲示してある住宅地図だ。地図で現在地を確認してみると目の前の通りが『金物通り』であることが判った。早くもキーワードにヒット!!あたりを見回し、駐車場らしきところを目指す。適当に歩くこと数分、意外にもあっさりと軌道跡を発見できた。
 場所は岩本町2丁目。通称「金物通り」に面した一角である。最寄駅は東京メトロの小伝馬町になるが、都営の岩本町、JRの神田、新日本橋からも徒歩で5〜10分圏内だ。
 最初に訪問したこの日は、夕暮れ時で世間はすでに正月休みに入り、周辺に人通りはほとんどない。一応、調査開始!(かなり怪しいゾッ!)
 軌道は通りに面した部分から一直線に駐車場の奥へ延びていた。奥の方はコンクリートで埋められていて線路がどうなっているのか判別不能だが、コンクリートのひび割れの様子から、ほぼ一直線に延びているように推測できる。レールが露出している部分は約15m。記事によれば軌間は約60cmとあるが、実測値で500mm〜520mmなので508mmと断定した。軌道部の剥がれたコンクリートの下には鉄製枕木が見え、レールと一体になっている。
 そして気になるこの駐車場であるが、この駐車場を管理する不動産屋の看板があるだけで、以前の痕跡を示す物や手掛かりは何も無かった。付近の地図にも「A不動産管理駐車場」としか記載されていない。後日、国会図書館で古い住宅地図を調べてみたが、1973年版には既に建物の記載がなく、82年版では駐車場となっている。何と数十年もの間、軌道跡が露出していたのである。
 尚、この駐車場のすぐ裏手にある別の駐車場に門の跡と思われるレールが残っているが、偶然にも軌間は508mmである。

 ※2010.11.05 重機が入りビルの建設工事が始まっていました。軌道があった部分には大きな穴が!完全撤去です。

《データ》
■岩本町の駐車場 [廃線]

◇東京都千代田区岩本町2-8-13◇小伝馬町 歩5◇終日、公道より見学可
◇区間:敷地内◇残存距離:約0.015km◇軌間:508mm◇動力:不明◇敷設日:不明◇廃止日:不明◇撤去日:不明(2010.11.05以前)
 

[調査日2005.12.30〜2008.02.15]

  2006.01.06撮影

  2006.02.17撮影

  2009.09.14撮影




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