■「烏骨鶏の卵を売る農家」を探せ


 いつ頃の情報だったか?、「三鷹の兵舎だったところにトロッコがあるよ!」…、トロッコに関する情報なんて最初はこんなモンである。そして急に詳細情報が出回り始めると無くなっていたりして…。それがひょんな事から急展開を見せたのである。
 いつものようにヒマな時間を利用してWEBでガサ入れしていると、とあるブログに「近いうちに取り壊される三鷹の牧舎」というタイトルに惹かれて開いてみた。すると渋い木造建造物の写真があってチョット面白そうだったので読み進めてみると、何と!トロッコのレール跡の写真が写っていたのであった。「おおっ、これはっ!」…、しかし、場所の記述がない!何度も読み返して内容を確認すると場所と施設名は分からないながらも幾つかの手掛かりがあった。キーワードは「三鷹」「元牧場」「烏骨鶏の卵販売」「建物は元兵舎」であった。
 検索エンジンを開いてキーワードを入れて検索をかけ、暫く検索エンジン内を彷徨っていると、ある携帯ブログに「三鷹:烏骨鶏の卵を売る農家」のタイトル。開いてみるとタイトルの他には烏骨鶏の卵の写真と住所の記載しかない。(こりゃ分からんなあ…)しかし住所を一つ入手。今度はストリートビューにかけてみる。すると…、出ました!最初のブログに出てた渋い木造建造物が!やっと辿り着いた。(文章では簡単に書いてますが、解決まで半日以上費やしてますわ)その後も他に何かないか検索を続けたが進展はココまでだった。
 場所が分かると落ち着いていられない。だって最初に見たブログのタイトルは「近いうちに取り壊される三鷹の牧舎」。もしかしたら既に取り壊されているかも…。で、最初は2月の雪の降る中を出かけてみた。住所は三鷹市だがほとんど調布市と言ってもいいぐらいの位置で、京王線のつつじヶ丘駅から歩いて約10分の距離である。
 周囲は完全に住宅街。まだ残っているのだろうか?不安に気持ちで最後の角を祈るような気持ちで曲がると…。ありました!ブログの写真と同じ渋い木造建造物が!しかし、建物の扉は閉ざされていた。さてどうするか?
 ホントの目的はトロッコの線路だが、扉の横に書いてある「烏骨鶏卵150円」をきっかけに呼鈴を押してみましょう!…が、呼鈴鳴らしても誰も出て来ない。以後、何回か訪問して結果は同じだったが、何度目かでようやく6月になってご主人に会うことができた。

 建物内にレールがあった。軌道の長さは建物の窓と比較すると3間強。1間=180cmで計算すると約5メートル強ということになる。軌間は470mm(実測値)。建物横の外側にも細いレールが少しだけ顔を出していて、コンクリートに埋もれている断面を計測すると、頭幅30mm、高さ50mm、底幅50mmでほぼ6kg/mに相当。ご主人の話しだと線路は牧舎で向きを変えてL字型をしていたとのこと。この建物も以前は現在の3倍くらいの大きさの建物だったということなので100メートル近くに達していたようだが、既に撤去されて残っているのはここだけのようだ。牧舎は戦前、兵舎として建てられたものを利用していたが既に牧場はやめている。
 ご主人は「(古いので)もう取り壊さないとね…」と淋しそうに語っていた。ひと通り撮影を終え最後にお礼を言って牧舎をあとにする。ゆっくり歩いて駅に戻る。この軌道が消えるのはいつの日か?そんな事を考えながら…。

 グーグルのストリートビューでは牧舎の建物がまだ残っている。また航空写真では90度向きを変えた線路らしきものもが屋外にも…。(2011.06.06現在)

※個人宅ですので、訪問の際は必ずマナー厳守でお願いいたします。

《データ》
■犬井牧場跡 [廃線]

◇東京都三鷹市中原2-4-7◇つつじヶ丘 歩10
◇残存区間:旧牧舎内◇残存距離:0.005km◇軌間:470mm(実測値)◇動力:人力(推定)◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 

《参考サイト》
●Tomboのデジタルカメラ 「近いうちに取り壊される三鷹の牧舎
●ふるさと伝え隊アンテナショップへようこそ 「三鷹:烏骨鶏の卵を売る農家

[調査日:2011.06.06]




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