■帝都の地下下水道工事を探れ

 治水工事により掘削された荒川を取巻くように旧中川が流れる。その旧中川と荒川が最後に合流する地点に現在、小松川第二ポンプ場を建設している。このポンプ場の役割は大島ポンプ場より流れて来る雨水を汲み上げるためであるが、その雨水をここまで導く雨水管も同時に建設工事を進めている。その雨水管が内径6000mm、延長705.20mの東大島幹線である。今回、その工事現場の見学会に潜入した。
 工事の起点である小松川第二ポンプ場は都営地下鉄東大島駅の南約500メートルに位置する。雨水管工事は地下42メートルの地点をシールドマシンを使って北へ向かって掘削し、中川大橋付近で進路を西へ変えて第五大島小学校付近まで達する。(その先は南大島幹線として内径を4500mmに変えて更に西へ831.25m掘削する計画)
 立坑を階段とエレベーターを使って底まで降り、更に狭い通路を進むとようやく軌道が現れる。掘削工事は始まったばかりで立坑下の資材積込場からシールドマシンがある掘削地点まで(上の写真が工事区間のほぼ全景)の軌道は30メートル程度の距離しかない。その短い区間でセグメントを貨車に積んで運んでいる。軌道末端に白いBLと貨車が停まっていた。車輌はトモエのBLと2両の貨車だけである。推進運転で掘削現場に向かう。トンネル断面が大きいためか?軌間は762mmで今まで見た下水道工事軌道より広い。
 坑道内は静かであったが見学当日も掘削作業は進められており、見学者の邪魔にならないようにトロッコを移動させたり、工事の様子を再現するためにセグメントを積んだ状態で動かしたりして、少しではあるがトロッコが動いている姿を見ることができた。
 尚、この工事は東京都下水道局が発注、鹿島が施工。掘削作業の工期は東大島幹線工事が平成25年5月まで、更にその先の南大島幹線工事は平成26年2月まで続く予定なので、もしかしたら再び見学する機会があるかも知れない。

《データ》
■鹿島建設 東大島幹線工事軌道 [現存]

◇東京都江戸川区小松川1-1(工事起点)◇東大島 歩10
◇区間:小松川第二ポンプ場〜掘削現場◇距離:0.03km(2012.06.28現在)◇軌間:762mm◇動力:蓄電池
 
[車輌データ]
◆01:0651号 BL(新トモエ電機 600型/B型 3.5t 762mm)
◆02:FC(新トモエ電機 2002.01製/7t積2軸 762mm)
◆03:FC(新トモエ電機/7t積2軸 762mm)

参考資料:東大島幹線及び南大島幹線その2工事パンフレット

[探索日:2012.06.28]




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