■大多喜町の元商家を探れ!

 小湊鐵道からいすみ鉄道を乗り継いで房総半島を横断した際、大多喜駅での待ち合わせ時間を利用して復元人車の写真を撮っていると発車時刻に間に合わず列車を1本見送る事になってしまった。時刻表を見ると次の列車まで約1時間。さて、どうする?
 フリー切符だったので、とりあえず改札を出て周囲を見渡すと目の前に観光案内所があった。土産、パンフレットの他にレンタサイクルもあるようだ。確か以前、車で通りかかった時、古い建物が意外と残っていた印象があったので自転車を借りて町内を回ることにした。案内所で自転車を借りる手続きをして、観光用の地図を貰っていざ出発。
 観光マップにも古い建物が記載されている。それを見ながらチャリをゆっくり流していると、いい感じの古い木造の建物が点在していた。駅前から南へ進み丁字路を左折。広めの道路を道なりに左折、右折、左折…。城下町らしく曲がり角の多い町並みが続く。市街地を反時計周りに半周以上回ったあたり商店と民家の隙間を見るとなんと!レール?いやレールではない!しかし!
 2本のL型アングル材の角を上にして、角が向かい合うように、並行に約30メートルくらい続いている…。アングル材同士の間は溝になっていて、これは正にトロッコの軌道以外の何モノでもありません。軌道の途中に扉があって中には入れないようになっているが、隙間から奥まで見通せる。一番奥には倉庫の様な建物、その手前のスペースにはビールケースなどが転がっているのが確認できた。どうやら右側の木造の民家が軌道の使用者のようだ。
 この木造の建物は一般の民家であるが元は商家だったということが容易に想像できる造りだ。看板などは全く残っていないので、どんな商いをしていたのかは判らないが、奥にビールケースなどがあることから酒屋と推定するのが妥当であろう。
 この周辺には古くて奥行きの深い建物が多く残っている。前の道路は旧街道なのかもしれない。車で運ばれて来た酒、ビールなどを店先で荷降ろしし、トロッコに積替えて倉庫へ運ぶ…。そんな典型的な街角軌道の情景が目に浮かんで来ました。

《データ》
■大多喜の元商家 [廃線]

◇千葉県夷隅郡大多喜町桜台39◇大多喜 歩10
◇残存区間:商家横〜倉庫跡◇残存距離:約0.03km(目測)◇軌間:445mm(実測値)◇動力:人力(推定)◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 

[探索日:2013.08.23]


inserted by FC2 system